アッヴィ、未治療のCLL治療薬「ベネトクラクス」の承認申請
アッヴィ合同会社は、日本国内において未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)および小リンパ球性リンパ腫(SLL)に対する治療薬、ベネトクラクスの承認事項の一部変更を申請したことを発表しました。この薬は、 がん細胞の自然死を促進するB細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質をターゲットにした経口BCL-2阻害剤として位置付けられています。
CLLとその特性
日本国内におけるCLLの推定患者数は約6,000人であり、この病気は非常に希少です。CLLは成人の白血病の中でも頻繁に見られる症状であり、米国や欧州では全白血病の約30%を占めています。その一方で、日本国内では診断時の平均年齢は70歳であり、主に男性に多く見られます。特に予後不良のリスクを抱える患者には、遺伝的要因が影響していることが報告されています。
「小リンパ球性リンパ腫」と呼ばれるこの病は、CLL患者の一部に診られ、克服するためには適切な治療が必要です。通常、緩慢に進行しますが、一部のケースでは急速に進展し、治療難易度が高いこともあります。
日本における治療の現状
CLL患者に適用される治療方法は年齢や健康状態、遺伝的要因に基づいて選択されますが、日本では現行の治療法は長期投与が必要で、しばしば副作用や病気の進行、患者自身の服薬遵守が課題となっています。特に日本では未治療のCLLおよびSLL患者に対する一次治療薬は限られており、新たな治療選択肢へのニーズが高まっています。これが、ベネトクラクスが申請された背景となっています。
臨床試験の知見に基づく申請
今回の申請は、日本国内の第II相試験(M20-353)や、海外で行われた第III相試験から得たデータに基づいています。
- 未治療のCLLおよびSLL患者20名が対象で、ベネトクラクスとオビヌツズマブ、またはイブルチニブとの併用投与による安全性と有効性が評価されました。
- 未治療のCLL患者432名を対象に、ベネトクラクスとオビヌツズマブの併用が比較される多施設共同研究が実施されました。
- 211名の未治療のCLLとSLL患者を対象に、ベネトクラクスとイブルチニブの併用効果が調査されました。
詳細な試験情報は、各公式ページにて公開されています。
ベネトクラクスの重要性
ベネトクラクスは、がん細胞の自然死を促進する機能があり、血液がんの治療において新しい可能性を示しています。この薬剤は米国を含め80以上の国で既に承認されています。アッヴィは、さらなる臨床試験を通じて、より多くの患者に貢献することを目指しています。
アッヴィのミッションは、難治性疾患や健康上の課題に対して革新的な治療法を提供することです。日本国内では、免疫疾患やがん、精神・神経疾患などの領域で治療開発を進めています。アッヴィやベネトクラクスについての最新情報は、公式サイトやSNSで随時発信されています。