極希少疾患への遺伝子治療で未来を変えるVC Gene Therapyの挑戦
近年、医療分野における遺伝子治療の進展が期待されている中、株式会社VC Gene Therapy(以下、VCGT)が希少疾患に対する治療の開発に取り組んでいます。神戸市に本社を構えるこの企業は先日、立命館ソーシャルインパクトファンドから1億円の資金を調達したことを発表しました。これは、治療法の確立が未だ進んでいない極希少疾患向けの遺伝子治療を提供するための重要なステップとなります。
網膜色素変性という指定難病
VCGTの焦点となるのは、網膜色素変性(Retinitis Pigmentosa:RP)です。これは、視細胞と網膜色素上皮細胞が変性する遺伝子性の病気で、国内でも多くの患者が視覚障害に苦しんでいます。日本では約3万人がこの病に罹患しているとされますが、その数は世界全体では150万人に上ります。これまでにも約200の遺伝子変異が特定されていますが、まだ解明されていないものも多いのが実情です。
遺伝子治療の進展と医療制度の課題
遺伝子治療の中で、特に注目を集めるのが2023年5月に日本で承認された遺伝子補充療法「ルクスターナ®注」です。これは、RPの一因であるRPE65遺伝子の機能を補うもので、日本での承認は大きな進展とされています。しかし、その治療費が両眼で約1億円という高額であることから、現行の医療システムの課題が浮き彫りにされる結果となりました。
その他機関との連携による治療開発へ
VCGTは、神戸市立神戸アイセンター病院と連携し、より良い医療を早期に患者へ届けるために、遺伝子治療の開発を進めています。特に、ロドプシン(RHO)遺伝子に対してゲノム編集技術を用いた治療法の確立を目指しています。また、他の遺伝子についても迅速に臨床開発を行い、国内外で治療を待つRP患者に対して、「日本で治療が受けられるエコシステム」を構築することを視野に入れています。
立命館ソーシャルインパクトファンドの取り組み
この資金調達を進めた立命館ソーシャルインパクトファンド(RSIF)は、社会的課題を解決するために新しい事業を展開するスタートアップやNPOを支援するために設立されたファンドです。教育、環境、福祉などの分野に取り組み、理論と実践を融合させたアプローチを採用しています。RSIFの代表である野池雅人氏は、VC Gene Therapyとの連携を通じて、極希少疾患に対する遺伝子治療開発の進展を支援できることに喜びを表明しました。
まとめ
VC Gene Therapyは、患者中心の治療開発を重視し、社会的価値を創造する取り組みに邁進しています。成功すれば、この革新的な遺伝子治療が多くの患者の生活を一変させる可能性があり、その動向から目が離せません。今後の進展に期待が寄せられます。