量子コンピュータを活用した新しいビジネス創出の可能性
近年、IoTや機械学習の発展が急速に進み、私たちの生活は一層便利になっていますが、それに伴い処理すべきデータ量の増加や消費電力の問題、さらにはリアルタイムでのデータ処理が新しい課題として浮上しています。これらの課題に対し、量子コンピュータという新たな解決手段が期待されています。
量子コンピュータの特性と活用
量子コンピュータは、特に最適化問題を解くのに特化したマシンとして設計されており、量子トンネル効果を利用して従来の計算機に比べて圧倒的な速さで問題を解決することが可能です。昨今の注目では、2015年に行われたGoogleとNASAの共同発表があり、この場では量子コンピュータが特定の問題において従来の計算機の1億倍の速度で解を見つけたとの話題が注目されました。このような技術を活用することで、難解な社会問題に対し新しいアプローチが取れると期待されています。
MDR社の取り組み
MDR社は、国内の大手企業や国立大学法人、国立研究開発法人などと協力し、量子コンピュータのハードウェアやミドルウェア、アプリケーションの開発に取り組んでいます。2018年には、MUFGデジタルアクセラレータ第3期企業として採択され、金融分野を基盤とした量子コンピューティングによるビジネス創出が注目されています。また、一般の開発者が量子コンピューティングの力を活用能できるようにするため、Python ベースでの SDK「Wildcat」の開発も進めています。このSDKは、2018年にMicrosoft Innovation Awardでも評価を受けました。
さらに、D-Wave社の量子コンピュータを使用して様々なアプリケーションを検証し、特に機械学習や組合せ最適化問題において新たなビジネスモデルの構築を目指しています。金融、創薬、自動車といった分野でのアプリケーション開発によって、多くの人々に量子コンピューティングの利点を提供できる可能性があります。
代表者のコメント
MDR社の社長、湊雄一郎氏は「量子コンピューティングは金融やセキュリティ、創薬の領域においても親和性が高く、全く新しいソリューションを提供できる可能性がある」と語ります。また、このD-Wave社との契約によって実際の量子コンピュータを利用し、多様な課題を解決するための探索に取り組むことができるとのことです。
一方、D-Waveの社長、ボー・イーワルド氏も、MDR社との提携を通じて量子コンピューティングをビジネスに取り入れたいと考えている方々に多くの利点をもたらすことを期待しています。両社の連携によって、新たなツールやアプリケーションが生まれ、量子コンピュータの可能性が開かれることに希望が持たれています。
会社概要
MDR株式会社
- - 代表者: 湊雄一郎
- - 所在地: 東京都文京区本郷2-40-14
- - 設立: 2008年12月
- - 事業内容: 量子コンピュータ関連の研究開発
- - URL: MDR社公式サイト
D-Wave Systems, Inc.
- - 代表者: Vern Brownell
- - 所在地: カナダ・ブリティッシュコロンビア州バーナビー
- - 設立: 1999年
- - 事業内容: コンピュータハードウェアの開発
- - URL: D-Wave公式サイト
このように、量子コンピュータに関する技術やビジネス創出の活動は、日本国内だけでなく世界中で注目されており、今後の発展が期待されています。