三菱電機の『SUSTIE』、アジア地域優秀賞受賞
三菱電機株式会社、株式会社三菱地所設計、そして早稲田大学が協力して開発したZEB関連技術実証棟『SUSTIE』が、米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)による環境建築技術賞でアジア地域優秀賞を獲得し、2026年の世界最優秀選考へ進出することが決まりました。これは、建築業界において大変名誉な成果であり、「SUSTIE」が今後の環境建築の指標となることが期待されます。
受賞の背景
ASHRAE Technology Awardsは、1999年から毎年開催され、快適性や省エネを実現した革新的な建築物を表彰する権威ある賞です。『SUSTIE』は新築オフィス部門のアジア地域の代表として選出されました。この受賞により、日本を含むアジア全域で認知度が深まり、環境建築の普及を促進します。
環境配慮の究極の形
『SUSTIE』は日本初の中規模オフィスビルとして、環境配慮に関する三つの最高評価を獲得しました。まずはBELS制度による最高評価「ZEB」、次にCASBEE-スマートウェルネスオフィスの「Sランク」、そしてWELL認証の最高評価「プラチナ」です。これらの認証を受けることで、快適で健康的な職場環境を提供しつつ、カーボンニュートラルにも寄与しています。
プロトタイプ建築としての四つのポイント
『SUSTIE』は、これからの社会が求めるプロトタイプ建築として以下のポイントを実現しています。
1. ZEBの実現に向けた設計
自然エネルギーの最大限の活用を意識した設計が特徴です。開口部や庇などを利用したパッシブデザインと、高効率設備を導入したアクティブデザインを組み合わせ、エネルギー消費を劇的に削減しています。特に、都市部での中規模ビルのZEB化実現に向けた新しい設計アプローチを示しています。
2. 効率的な自然エネルギーの利用
北側に位置する大吹抜空間を設け、大きな開口部で自然光を取り入れることで、照明にかかるエネルギーを最小限に抑えています。さらに、自然換気や重力換気を活用することで、快適さを維持しながらもエネルギー消費を削減しています。
3. 健康優先の設備設計
天井内で冷暖房を調節する独自の放射空調システムを用い、オフィスワーカーの快適性を追求。これにより、快適な作業環境を維持しながらも省エネを実現しています。
4. AIによる運用の最適化
建物内のデジタルツイン環境を活用し、AIを用いた運用計画を実行しています。データをもとに省エネと快適性を両立するための不断の改善を繰り返しています。
これらの取り組みにより、年間エネルギー消費量でも「ZEB」を達成しています。将来的には、機器の低炭素化や、建物のライフサイクル全体を通じたCO2削減にも取り組む意向です。
さらなる展望
『SUSTIE』の存在は、これからの環境建築の在り方に多大な影響を与えることでしょう。2025年8月に受賞式が行われ、国際的な舞台での評価が高まる中、さらなる技術革新と社会貢献が期待されています。環境建築の未来を切り開くこのプロジェクトから目が離せません。