フェンディ 2025-26年秋冬 コレクションの魅力
2025年2月26日、フェンディはミラノでウィメンズ・メンズコレクションのファッションショーを開催しました。アーティスティックディレクターのシルヴィア・フェンディが手がけるこのコレクションは、フェンディの創業100周年を祝う重要な瞬間でもあります。シルヴィアは「フェンディは未来を思い起こさせてくれる」と語りながら、ブランドの過去と未来を結びつけるデザインを提案しました。
今回のショーは、歴史的な背景を持つミラノの新しいショールームで行われました。そこは、ローマのブティックやアトリエのサロンを再現した空間で、5人の姉妹たちがともに働いていた時代が感慨深く思い出されました。豪華な内装に囲まれたこの場で、フェンディは新たな物語を紡いでいきます。
遊び心と大胆さの融合
シルヴィアのデザインには、遊び心と深い意味合いが感じられます。過去を振り返り、そのエッセンスを取り入れながらも、現代的な解釈で表現されるスタイルが特徴的です。ウィメンズとメンズコレクションは、イタリアの洗練された伝統に基づきつつ、破壊的なアプローチが組み合わさっています。「服は人格を持ち、逆に人格が衣服となる」という概念も感じられます。
例えば、フレアコートの襟は高く、ウエストを引き締めることで、まるでドレスのように表現されています。使用されている素材や技法も進化しており、従来のファーに代わって新たなマテリアルが使われています。コレクション全体には、夕暮れのローマを彷彿とさせるカラーリングが施され、多様なシルエットが展開されています。
ディテールが語るストーリー
コレクションの中で目を引くのは、ブレザーやコートの仕立ての精緻さです。ボイルドウールコートにサテンの裏地をあしらったものや、ラムスキン製のトレンチコートは、イタリアのパワードレッシングを象徴しています。また、ウィメンズとメンズの両コレクションにおいて、シアリングストールが目立ちます。これにより、重厚感のあるコートと軽やかさを併せ持つスタイルが実現されています。
さらに、高い技術が生かされたアイテムが多く見受けられます。例えば、ミッレフォッリエのイブニングアンサンブルや、トロンプルイユデザインのブーツなど、フェンディの職人技が光ります。特に、スワロフスキーの輝きを取り入れたアクセサリーや、ファーの質感を生かしたジュエリーの数々は、贅沢でありながらも現代的な感覚を持っています。
アクセサリーの革新
アクセサリー部分は、レトロフューチャリストな視点から再解釈されています。新たに登場した「フェンディ ジャーノ」バッグや、長年のアイコンである「ピーカブー」や「バゲット」バッグは、シアリングやディスコスパンコールを用いた新デザインが施されています。その変遷が見事にブランドの歴史を物語ります。
また、フットウェアも新たな展開を見せています。サテンやラムスキンを用いたブーツやスリッパは、洗練された印象を与えます。それに加えて、メンズラインでも新しいデザインが発表されており、次世代のフェンディを感じさせるアイテムが揃いました。
総評
2025-26年秋冬コレクションは、フェンディが持つ歴史の重みを感じさせつつ、遊び心と革新性を兼ね備えた魅力的な内容でした。過去を振り返りながらも未来へと進む姿勢は、ファッションだけでなく、ブランド全体に新たな光を与えています。このコレクションが、今後どのような影響を及ぼすのか楽しみです。