再生材マーケットプレイスの誕生と未来への展望
この度、株式会社日立製作所と株式会社三菱UFJ銀行は、リサイクルプラスチックなどの再生材の活用をさらに促進するため、「再生材マーケットプレイス」の事業化に向けた基本合意書を締結しました。この協力は、気候変動や資源不足が深刻化する昨今の背景の中で進められています。
背景
私たちの社会では、気候変動や生物多様性の損失、廃棄物の増加といった問題が顕著になっています。これに伴い、サーキュラーエコノミーという概念が注目されるようになりましたが、特に再生材の活用が求められています。しかしながら、廃材由来の再生材は品質がばらつきやすく、取り扱いが難しいのが現状です。そのため、供給元と需要者とのマッチングがスムーズに行われないという課題があります。
日立の取り組み
日立は、マテリアルズ・インフォマティクスやAIといった先進のデジタル技術を駆使してこれらの課題を解決しようとしています。また、日立ハイテクの商事機能を活用し、リサイクルプラスチックの需要と供給をつなげる「再生材マーケットプレイス」を開発。そのプロトタイプ版の実証実験は2024年6月に完了する予定です。これからサービスの提供に向けて準備が進められています。
三菱UFJ銀行の役割
一方、三菱UFJ銀行はサーキュラーエコノミーを支援するために、グリーンローンやサステナビリティ・リンク・ローンといったファイナンス手法を通じて企業を後押ししています。今回の基本合意によって、両社はそれぞれの専門性を持ち寄り、日本の再生材市場の発展に寄与できると考えています。
金融機能の概要
本再生材マーケットプレイスでは、三菱UFJ銀行が提供するサプライチェーンファイナンスの活用が検討されています。この仕組みでは、再生材の売買が成立した際に発生した売掛債権を早期に資金化し、参画企業の資金調達を助けます。将来的には、金融機能を超えて業務効率を高めるための周辺機能も提供する予定です。
今後の展望
これからの計画として、2026年度のサービス提供に向けてファイナンスニーズの調査を年内に開始予定です。また、実際の利用者から得られるフィードバックをもとに、より良いサービスを提供する方向で進められていきます。そして日立の持つドメインナレッジを活かし、生成AI技術を取り入れたデータ価値の創造にも取り組むことで、お客様のニーズに対するさらなる柔軟性を発揮することを目指しています。
この取り組みが成功すれば、再生材マーケットプレイスを通じたオープンなエコシステムの形成が進み、いずれは持続可能な産業の実現が期待されます。