テラヘルツ波による高速データ通信の実現
2025年5月30日、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と早稲田大学が、世界初となる航空機と地上局間の高速データ通信実験の成功を発表しました。この実験では、テラヘルツ波が用いられ、飛行中の航空機から地上へと大容量のデータが送信される様子が実証されました。
実験の概要
JAXAと早稲田大学の研究チームは、高度約3kmの空中を飛行する航空機に新型のテラヘルツ帯アンテナサブシステムを搭載しました。このシステムには、通信に必要なアンテナや受信機が含まれています。また、自動追尾機能を持つため、アンテナは常に最適な位置に向けられ、高度な通信品質を保つことができます。
実際の通信速度はなんと4Gbpsに達し、これが実現されたのはテラヘルツ帯特有の性能によるものです。これまでも様々な通信技術が開発されてきましたが、高速飛行中の航空機と地上局との間でテラヘルツ波を利用した通信が成功したのは、これが初めてのことなのです。
多摩川電子の貢献
本実験において特筆すべきは、テラヘルツ帯周波数変換装置の設計・製造を担当した株式会社多摩川電子の存在です。この装置は、通信システムの中核をなす重要な要素であり、地上局と航空機の両方で使用されています。この機器は、性能を最大限に引き出すために特別に設計され、テラヘルツ帯の設計と超広帯域設計が施されています。これにより、高い通信品質が確保され、実験が成功に終わりました。
今後の展望
多摩川電子は、今後も次世代の移動体通信技術の研究開発に注力する計画です。特に、6G時代に向けた新たな製品の開発に取り組み、さらなるイノベーションを目指していくとのことです。また、テラヘルツ波通信技術は、今後の通信インフラの中でますます重要な位置を占めることが期待されています。
JAXAと早稲田大学が共同で取り組むこのプロジェクトは、通信技術の進化だけでなく、航空宇宙産業への応用なども期待されており、今後の進展に目が離せません。
参考資料
テラヘルツ波を利用した新たな通信技術により、航空機の運用やデータ伝送の未来が大きく変わる可能性を秘めています。今後もこの分野の進展に期待が高まります。