エンジニア転職の実態調査:コーディングテストと面接官の影響
株式会社レインが実施した「ITエンジニア・DX人材の転職の実態に関する調査」では、多くのエンジニアやDX人材が転職活動で感じることやその選考過程について意見を寄せました。本記事ではその要点をまとめ、エンジニアがどのような要素を重視しているのかを探ります。
調査の背景
現在、企業におけるITエンジニアやDX人材の採用は、経営課題の一つとして重要視されています。労働人口が減少する中、2030年には76万人以上のIT人材が不足すると言われ、企業間での人材獲得競争が激しくなっています。そこで、企業はエンジニアの心をつかむ選考プロセスをどう設計すべきかに頭を悩ませています。
特に、エンジニアやDX人材採用の経験が少ない採用担当者からは、「コーディングテストを実施したいが、候補者が離脱しないか心配」といった声や、「エンジニアに対する理解が低いと感じる面接に不安がある」という意見が聞かれます。
調査結果のサマリー
1. コーディングテストで志望度アップ
調査結果によると、コーディングテストを実施した場合、志望度が「上がる」または「どちらかといえば上がる」と回答した人が60%以上を占めました。つまり、技術力を重視した選考がポジティブに受け取られ、候補者が納得できる採用プロセスが形成されていることが確認されました。
2. 面接官の理解度が志望度に影響
逆に、面接でエンジニアに対する理解が不足している場合、志望度が下がるとの回答が4割以上でした。この結果から、面接に技術的な話題が含まれないことで候補者が不安を感じる様子が伺えます。また、特にコミュニケーション能力を過度に重視する傾向がある面接が好まれないことが示されています。
3. エージェントによる企業選びの影響
人材紹介会社を利用している方の70%以上が、応募する企業を選ぶ際に「エージェントに勧められたから」という理由を挙げています。これは、自社をエージェントに認知させ、紹介を受けることが採用活動において非常に重要であることを示しています。さらに、会社のイメージやサービスを知っていることが応募のきっかけになるケースも多く、日々の広報活動が採用戦略に大きく影響を与えていることが分かります。
4. 丁寧なスカウト連絡が返信を促す
調査では、約2割の回答者が「何度も丁寧に連絡をくれた」ためにダイレクトスカウトに返信したとのこと。特に、経歴を理解した上でカスタマイズされたメッセージが理想とされており、候補者が特別感を感じることでスカウトに対する反応が良くなることが示されています。さらに、諦めずに丁寧に連絡を続ける姿勢が効果的であることも明らかになりました。
これらの結果から、企業はエンジニアやDX人材の採用プロセスにおいて、候補者の志望度に大きな影響を与える要因を理解し、柔軟に対応することが求められています。特にコーディングテストの導入や、面接でのエンジニア理解を深める取り組みが急務であると考えられます。
調査の詳細
本調査は、転職経験のあるITエンジニア・DX人材551名を対象に行われ、オンラインでの定量調査により結果が得られました。調査を通じて明らかになったのは、企業が求める人材像と、候補者が求める働き方のギャップを埋めるための手法として、エンジニアの意見を聞くことが不可欠であるということです。
まとめ
エンジニアやDX人材を採用する上で、コーディングテストの重要性や面接官の理解度は極めて大きな要素であると、この調査結果から読み取ることができます。企業はこれを踏まえ、魅力的な選考を設計し、志望度の向上につなげる必要があります。