アストロスケールとJAXAが手を組み、宇宙環境の持続可能性に向けた挑戦
株式会社アストロスケールホールディングスの子会社アストロスケールは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)との間で大型デブリ除去技術の実証に向けた契約を結びました。契約額は約130億円で、これは商業デブリ除去実証(CRD2)のフェーズIIにあたります。
CRD2は、JAXAのデブリ除去プログラムを起点としており、日本企業の新たな市場開拓を目指しています。このプロジェクトでは、日本のロケット上段を対象に、デブリに近付いたり取り除いたりすることを実証することが目的です。これまで長期間軌道上に残るデブリは、その状態についての情報が限られています。
フェーズIの成果
先行するフェーズIでは、アストロスケールがデブリへの接近及び近傍制御を行い、そこで得られた画像データを通じてデブリの運動や劣化状態を把握しました。この取り組みから得られた知見を基に、2024年2月からはフェーズIIが開始されます。
具体的には、アストロスケールの「ADRAS-J(アドラスジェイ)」という商業デブリ除去衛星を用いて、引き続きデブリへの接近とその状態を調査する作業が行われます。今後は捕獲や運搬を行うためのロボットアームが備わったADRAS-J2の開発を進め、ロケット上段を安全に除去する計画です。
ミッションの進行状況
2024年2月22日にアストロスケールはデブリへの接近を開始し、これまでの運用記録には、様々な観測が成功裏に行われています。特に、定点観測や周回観測を通じてデブリの状況を把握する技術が実証されており、これまでの進展は宇宙開発の新たな可能性を示しています。
商業デブリ除去実証(CRD2)の意義
このCRD2プロジェクトは、深刻化するスペースデブリ問題に対処するため、技術的な進展を目指すものです。フェーズI及びフェーズIIを通じて、日本由来の大型デブリを効率的に除去するための技術が開発されることが期待されています。また、JAXAからの技術支援を得て、デブリ除去における新たなスタンダードを確立することが狙いです。
アストロスケールの役割
アストロスケールは、宇宙環境の持続可能性を追求する企業として、衛星の寿命延長や故障物体の観測、既存デブリの除去などの多様なサービスを提供しています。2021年以降、数々のミッションを通じて、技術の実証と商業的な成果を上げており、 JAXAや米国宇宙軍などとの連携によって、国際的な取り組みにも寄与しています。
今後、アストロスケールは、持続可能な宇宙環境の実現に向けてさらに踏み出すことでしょう。宇宙開発における新たな挑戦が待ち受けています。
詳細情報は、
ADRAS-Jミッションページおよび
商業デブリ除去実証ウェブサイトをご覧ください。