戸田建設が新たに開発したAI議事録作成ツールの魅力とは
戸田建設株式会社(本社:東京都)は、生成AIを活用して議事録作成を自動化する新ツール「Make-Minutes」を開発し、会議の効率化とコスト削減を目指しています。これは、ミーティング後の要点やアクションアイテムを迅速にまとめ上げることで、参加者が会議に集中できる環境を整えるものです。
Make-Minutesの開発に至る背景
戸田建設はDX(デジタルトランスフォーメーション)推進室を設け、社内のさまざまな課題に対して内製で開発を行っています。特に、平林氏は2023年4月から個人的なプロジェクトとして議事録作成ツールの開発を始め、6月にはプロトタイプを完成させました。このプロトタイプが社内で高評価を受け、さらに機能追加の要望が寄せられたことから、正式に開発プロジェクトが始動しました。
この取り組みは、当初の個人的な興味から出発しており、平林氏は独自にAIやChatGPTをリサーチしつつ進められました。最終的には、2024年1月にバージョン1.0がリリースされました。
Make-Minutesの機能詳細
Make-Minutesは、ブラウザ上で利用できるウェブアプリケーションです。ユーザーは音声ファイルをアップロードすることで、自動的に文字起こしを行い、その後LLM(大規模言語モデル)が要約を行って議事録として出力します。議事録は会議の議題ごとに整理された要点が含まれ、決定事項とアクションアイテムも明確に記載されています。出力された議事録は、一見すると人間が作成したものと見間違うほど高品質です。
簡単な操作法
作成に必要なのは、音声ファイルのアップロードと会議関連情報の入力のみです。通常、わずか2クリックで議事録を作成可能です。また、生成された文字起こしデータは編集やトリミングも可能で、利用者のニーズに応じた活用ができます。さらに、音声認識にはAmazon TranscribeやWhisperを選択可能で、それぞれ異なる特性を持っています。前者は話者分離機能があり、後者は認識精度も高く迅速です。例えば、1時間の音声を文字起こしする場合、Transcribeは15~18分、Whisperは約3分で対応できます。
開発の背景と今後の展望
開発を指導したDX推進室の佐藤室長は、生成AIの潮流に応じて自社開発を行うことができたことに大きな意義を感じています。特に、全社的な取り組みとして展開される中、平林氏の自主的な行動が大きな成果につながったことを評価しています。今後、戸田建設はMake-Minutes以外にも、BIM(Building Information Modeling)のデータを活用したAIの導入を計画しています。これにより、建築パースの生成にもAIを活用し、さらなる効率化と創造性の発揮を目指しています。
たとえば、Stable Diffusionを用いれば、建物の完成予想図に異なる天候や季節感を加えることが容易となり、クライアントとの打ち合わせでもリアルタイムなシミュレーションができるようになります。これにより、プロジェクトの進行もよりスムーズに行えるようになるでしょう。
まとめ
戸田建設による「Make-Minutes」は、AI技術を駆使した議事録作成を実現し、会議の生産性向上に寄与することが期待されています。今後もこの取り組みが進むことで、建設業界におけるデジタル化と効率化が進展していくことでしょう。