サービス業が直面する厳しい財務環境 - 倒産件数の顕著な増加に関する調査結果

第1回「業種別標準財務指標」分析結果のレビュー

リスクモンスター株式会社（東京都中央区）が発表した第1回「業種別標準財務指標」の分析結果が注目を集めています。この分析は、2023年度（2023年4月～2024年3月）の法人企業統計調査を基にし、コロナ禍における経済状況を考慮したものです。調査結果には、特にサービス業における深刻な財務状況が浮き彫りになっています。

調査の背景

財務省による法人企業統計調査の結果、リスクモンスターは新型コロナウイルスが影響を及ぼす前後における業種別の倒産傾向や財務指標の変化を比較分析しました。この調査の目的は、コロナ禍の影響が各業種に与えた実際の影響をより明確にすることです。

主要な調査結果

2023年度の倒産件数は16,522件に達し、2018年度の12,143件から4,379件（36.1％）も増加しています。特にサービス業では、倒産件数が2,982件増加しており、これは増加率が他業種よりも際立っています。製造業や建設業でも倒産件数が増えていますが、財務指標の悪化は限定的でした。

財務指標の悪化

調査では、倒産が100件以上増加した6業種について、安全性、収益性、効率性の観点から9つの標準財務指標を算出しました。その結果、サービス業では自己資本比率や流動比率などの指標が全て悪化し、収益性指数も顕著に下がっていることが明らかとなりました。

サービス業の特徴

サービス業は多くの小規模企業が存在し、特に飲食店などはコロナ禍の影響で多大な打撃を受けました。行動制限が収支を大きく変え、資本の毀損を引き起こし、その結果として倒産件数が急増したことが指摘されています。一方で、製造業や建設業では倒産件数が増加しているにもかかわらず、標準財務指標の顕著な悪化が見られないため、その実態にはさらなる調査が必要です。

総評と今後の展望

調査結果を通じて、コロナ禍の影響はサービス業に特に顕著であり、景気回復要因が考慮されても倒産件数は依然として高止まりしています。政府の支援策が多くの企業を救いましたが、終了した後の資金繰り悪化が倒産につながる一因とされています。また、一般的な財務指標は業界内の平均を示すものであり、実態を正確に反映するわけではないため、個別企業の詳細な財務分析が重要です。

今後、人手不足や原材料費の高騰など、企業環境はますます厳しくなることが予想されます。管理するリスクを見極め、正確な財務情報を基に管理体制の強化が求められています。この楽観的な回復傾向の一方で、危機的な状況にある企業は依然として多いことを忘れてはなりません。