難聴と社会的影響
2024-03-11 15:00:06
難聴者の治療実態と生活に関する意識調査の結果から見える社会的課題
難聴者の治療実態と生活に関する意識調査の結果
近年、高齢化社会が進む中で、難聴者の数は日本国内で1250万人に達するとされています。超高齢社会が進展する中で、難聴はもはや個人の健康問題だけではなく、社会全体の課題として浮上しています。このような現状を背景に、一般社団法人日本ウェルリビング推進機構が実施した「難聴者の治療実態と生活に関する意識調査」では、難聴がどのような影響を及ぼしているのかを探求しました。
調査の目的と方法
この調査の目的は、難聴が個々人の生活や家族、また社会全体に与える影響を具体的に把握することにあります。調査は2024年1月31日から2月2日の間に、全国の20歳以上の難聴を自覚する人618人を対象にインターネットで行われました。結果は、難聴によるストレスや孤立感、医療機関への受診状況など多岐にわたりました。
難聴に関する認識の不十分さ
調査結果によると、難聴者の認識の低さが露呈しました。特に、難聴と認知症の関連性について理解している人は少なく、「理解していない」との回答が38.5%に上ります。また、難聴に自覚があるにも関わらず、受診していない人が約3割存在し、特に60代の受診率が低いことがわかります。受診しない理由には「難聴は加齢に伴う自然なもの」との考えが挙げられています。
難聴が生活に与える影響
難聴者の約6割が家族や周囲に迷惑を掛けていると感じている一方で、仕事のパフォーマンスにも約7割が影響を受けていると答えています。さらに、日常生活においてストレスや孤独感を感じる人も約6割にのぼり、こうした問題は、難聴者の精神的健康を損ねる要因となっていることが明らかになりました。
補聴器と人工内耳の利用状況
調査結果は、補聴器や人工内耳の利用率が非常に低い状況を示しています。補聴器を利用している人は約1割に過ぎず、補聴器外来を受診したことがある人も約2割しかいません。また、人工内耳を使用しているのは1.1%という極めて少数にとどまり、これには情報提供の不足が影響していると考えられます。
難聴といかに向き合うか
医療機関を受診し、補聴器や人工内耳の刺激を受けることが早期に難聴を改善し、認知症リスクを軽減する可能性があります。今後は、難聴者やその家族が適切な情報を得られるよう、啓発活動が不可欠です。調査を通じて得られた知見は、難聴に関する理解を深め、より良い治療環境を構築するための貴重な情報となります。
まとめ
難聴は、個人の健康だけでなく、社会全体に広がる影響を持っています。この調査をきっかけに、多くの人々が難聴に対して正しい認識を持ち、早期受診や治療の重要性を理解することが求められています。未来に向けて、難聴者がより良い生活を送れるよう、社会全体で支援を続ける必要があります。
会社情報
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一般社団法人 日本ウェルリビング推進機構
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