背景
この調査は、組織開発と人材育成を専門とするALL DIFFERENT株式会社とラーニングイノベーション総合研究所が実施したもので、管理職向け研修の受講者415名を対象に高まる課題を明らかにしました。特に「部下へのフィードバック」が焦点となっています。
新入社員たちは成長のためのフィードバックを求めており、これは強みや改善点を認識させるため、組織全体のパフォーマンス向上にも寄与します。しかし、このフィードバックをどう行うかが多くの管理職にとって大きな課題です。
調査結果の概要
フィードバックへのためらい
調査によれば、53.2%の管理職が部下へのフィードバックをためらうと回答しました。特に新任管理職ではこの割合が63.2%に達し、彼らがフィードバックを行う際の不安の原因には「部下の反応」に対する心配が大きいことが分かりました。
フィードバックの頻度
フィードバックの頻度については、新任管理職の約4割が「週に1回」または「特に決めていない」と答え、即時対応をすることが少ないことが課題とされています。一方、ベテラン管理職は26.1%が即時フィードバックを選択していることが確認されました。
フィードバックの伝達方法
フィードバックの方法に関しては、8割以上が「対面・口頭」での伝達を選び、特に幹部候補はこの傾向が強いことが注目されます。対面でのコミュニケーションが重視されていることは、リモートワークが普及するなかでも重要なポイントです。
フィードバック内容の心がけ
管理職の約7割が「事実や結果に基づく具体的な内容」を伝えるよう心がけており、これは部下にとっても重要な情報です。特に幹部候補においてはこの意識が高まりますが、新任の管理職はフィードバックの頻度が少ないため、この点において改善が必要です。
行動につながらない悩み
多くの管理職がフィードバック後にも課題を感じており、特に「課題を認識していながら行動につながらない」との悩みが46.8%を占めました。この悩みが管理職のフィードバックの有効性を損なう要因となっています。
まとめ
本調査から、管理職が部下へのフィードバックに対してためらいを抱えていることが浮き彫りになりました。特に新任の管理職において多く見られるこの傾向は、教育やトレーニングを通じて克服可能です。フィードバックの知識とスキルを習得することで、管理職は自信を持って部下に向き合い、コミュニケーションの質を向上させることが期待されています。
フィードバックは部下にとって非常に価値のあるものであり、管理職自身の成長にもつながるため、組織全体のパフォーマンスを向上させる鍵となる要素です。今後、具体的なフィードバックの手法を学ぶことや、対話の重要性を理解することが求められています。効果的なリーダーシップを発揮するためには、フィードバックプロセスの向上に努めるべきです。
CLMの見解
最高育成責任者である根本博之は、フィードバックについてさらに掘り下げる必要性を訴えています。若手社員はフィードバックをうまく受け入れる傾向がありますが、管理職はその取り扱いについてさらなる研究と実践が求められています。管理職がフィードバックスキル向上に取り組むことが、組織に好影響を与えると信じています。