30年間の水道水の意識調査結果を紐解く
2023年、ミツカン水の文化センターは第30回「水にかかわる生活意識調査」を実施し、調査結果を発表しました。1995年からの30年の中で、水道水に対する人々の意識が大きく変わった様子が伺えます。
水道水に対する不満の変遷
最初に注目したいのは、水道水への不満の内容です。1995年から2014年までの間、主な不満は「おいしくない」や「消毒剤が体に悪い」という質に関するものでした。しかし、2024年には不満のトップが「水道料金が高い」と変化しました。この結果から、過去30年間にわたり、味や質の向上が不満の減少に貢献していることが明らかです。
不満を持たない人の増加
さらに、調査結果では「特に不満はない」と答える人が近年増加しています。2004年にはわずか10%だったのが、2024年には半数に迫る勢いで増加しています。これは水道の味や質への不満が解消されたことによるものと考えられます。
沖 大幹先生の見解
東京大学の沖 大幹教授は、調査結果をもとに水道水の評価についての解説を行っています。地震や経済問題があった1995年に比べ、水道水の品質は大きく改善され、評価も向上しているとのことです。特に東京や大阪では、オゾン処理などの高度浄水処理が導入され、評価が上昇しています。
水道水の質への評価
調査開始当初の1995年と最新データの2024年を比較すると、水道水が「おいしい」とする回答者の割合が3.2%から14.1%に増加し、同時に水道水に不満を持つ人の割合が大幅に減少しました。この背景には、より良い浄水処理技術の導入があることが指摘されています。
料金への不満は依然として高い
一方で、水道料金に関する不満は依然として高い数値を示しています。料金が「高い」と感じる人の割合は30.8%から26.2%に減少したものの、他の不満点に比べて際立って高いままです。
しかし、ライフライン全体の中では水道に対する料金の妥当性の認識が高く、値上げに対する許容度も高いことが報告されています。今後も人口の減少に伴い、水道サービスのコストが上昇することが予想される中で、料金に対する理解が鍵となるでしょう。
最後に
今回の調査結果は、過去30年間に水道水に対する意識がどう変化したのかを浮き彫りにしており、今後の水道サービス向上に向けた視点を示しています。水の文化センターの活動は、私たちが抱える水道水の問題に対して重要な役割を果たすと言えるでしょう。