UTO、廃校で新工場
2024-04-22 11:00:02
岩手の廃校がカシミヤニットの聖地へ!UTO、新工場で世界へ羽ばたく
岩手の廃校がカシミヤニットの聖地へ!UTO、新工場で世界へ羽ばたく
岩手県北上市に拠点を置くカシミヤニットブランド「UTO」が、大きな転換期を迎えています。同社は、海外高級紳士服店への導入決定を受け、生産拡大のため、市内にある旧黒岩小学校の校舎をリノベーションした新工場へ移転しました。
廃校の再生と地域活性化
2023年3月に閉校した旧黒岩小学校。その歴史ある木造校舎は、UTOの手によって新たな命を吹き込まれました。968平米という広大な空間は、前工場の約4倍。明るい日差しが差し込む開放的な空間は、職人の創造性を刺激する環境となっています。
この移転は、単なる工場の移転ではありません。UTOは、北上市を「カシミヤニットの聖地」にしたいという強いビジョンを掲げ、地域社会との連携を深めています。2024年5月11日には、北上市長や商工会関係者、地元住民らが参加する盛大な立地調印式が開催されました。式典では、地元の伝統芸能である鬼剣舞が披露され、地域一体となっての門出を祝いました。
海外展開とエシカルな取り組み
UTOのカシミヤニットは、その高い品質から、英国のハンツマンやオーストラリアのJ.H.カトラーなど、世界的に有名な高級紳士服店への導入が決まりました。イギリス、フランス、スイス、アメリカ、オーストラリア、香港、中国、韓国と、販売拠点はすでに8ヶ国に拡大。まさにグローバル展開へと加速しています。
しかし、UTOの取り組みは、経済的な成功だけにとどまりません。代表の宇土壽和氏は、アパレル業界の視察ツアーを手がけてきた経験から、「最高級の素材で最高の製品をお届けして長くご愛用いただくこと」をモットーに、エシカルな生産を重視しています。内モンゴルの特定エリアで採取されたカシミヤを使用し、世界的にも珍しいオーダーメイド方式を採用することで、サステナブルなファッションへの貢献を目指しています。
さらに、2014年からは北上市のふるさと納税返礼品としてUTOのカシミヤニットが採用され、10年間で18億円を超える寄付金が集まりました。震災後も、復興支援として売上の一部を寄付し、地域社会との強い絆を築き上げてきました。
未来への展望
新工場では、地元の若者や女性の雇用促進にも力を入れています。工場長である玉澤宏美氏は、「子育てをしながらモノづくりの世界に飛び込みました。若い職人たちと共に本物のモノづくりを続けていきます」と語ります。
また、工場のゆとりのある空間を生かし、「工場体験」「社会科見学」「観光客誘致」なども計画。教育や観光の分野でも地域活性化に貢献していく考えです。
UTOの挑戦は、単なる企業の成長物語ではありません。廃校を活用した地域再生、エシカルなモノづくり、そしてグローバルな展開という、多角的な視点から、未来への道を切り開く、まさに「地方創生」の成功モデルと言えるでしょう。
会社情報
- 会社名
-
株式会社ユーティーオー
- 住所
- 東京都港区南青山5-4-35たつむら青山607
- 電話番号
-
03-3498-2230