JCB消費NOW:中小企業白書で活用、消費動向分析の新たな指標に
株式会社ナウキャストと株式会社ジェーシービーが提供する国内消費指数「JCB消費NOW」が、中小企業庁の2024年版「中小企業白書」「小規模企業白書」で活用されたことが明らかになった。
「JCB消費NOW」は、匿名加工されたクレジットカード決済データに基づき、国内消費の動向を詳細に分析できる指標として注目されている。ナウキャストは、「JCB消費NOW」を活用して「中小企業指数」を試作し、中小企業の売上動向を地域別、業種別に把握することに成功した。その成果は、2024年版「中小企業白書」「小規模企業白書」に掲載され、中小企業を取り巻く経済環境の理解に貢献している。
中小企業の売上動向把握の重要性
新型コロナウイルス感染症の影響が収束しつつある中、原油・原材料価格の高騰など、中小企業を取り巻く環境は依然として厳しい。このような状況下では、中小企業の実態を踏まえた適切な政策支援が求められる。そのためには、中小企業の売上動向、生産状況などの経済活動を詳細に把握することが重要となる。
しかし、従来の政府統計は、調査対象となる事業者の趨勢を正確に把握できる一方、より細かい属性の動向や速報性の高い把握には限界があった。特に、中小企業に限定した動向を把握できる経済指標は限られており、詳細性や速報性に関する課題を抱えていた。
「JCB消費NOW」:オルタナティブデータの可能性
こうした状況下で、クレジットカード決済データなどのオルタナティブデータが注目されている。オルタナティブデータは、詳細性と速報性に優れ、従来の政府統計を補完する役割が期待されている。
「JCB消費NOW」は、JCBカードの取引データを匿名加工した上で活用することで、現金も含めた国内消費全体の実態を捉えることができる。従来の消費統計と比べて速報性が高く、インターネットショッピングやキャッシュレス決済を含む幅広い消費動向を把握できる点が特徴だ。
「中小企業指数」:供給側指数に着目
ナウキャストは、「JCB消費NOW」のデータを用いて、企業規模別の「供給側指数」を新たに開発した。「供給側指数」は、財・サービスを供給する店舗・企業の所在地といった情報を用いて集計される。これにより、消費地における決済金額の推移をより鮮明に把握することが可能になる。
「中小企業指数」は、業種別、企業規模別、地域別に中小企業の売上動向を把握するための新たな指標となる。本事業では、「中小企業指数」を利用した分析のユースケースの探索・検討も行い、その成果は「中小企業白書」「小規模企業白書」に掲載された。
今後の展望
ナウキャストとJCBは、「JCB消費NOW」の提供を通じて、経済や消費の動向把握、組織の意思決定を支援していく方針だ。オルタナティブデータの活用は、より詳細な経済分析を可能にするだけでなく、政策立案やビジネス戦略策定にも役立つと考えられる。今後、「JCB消費NOW」が、経済・社会の様々な分野で活用されることが期待される。