腸内細菌叢の新たな理解を促進する研究チームの結成
腸内細菌叢の新たな理解を促進する研究チームの結成
ヒトの健康に大きく寄与するとされる腸内細菌。しかし、その中には培養が困難で理解が進んでいない菌も少なくありません。そこで、慶應義塾大学先端生命科学研究所の福田真嗣特任准教授が、KISTEC腸内環境制御グループの中藤学サブリーダーと共に、ヒトの腸内細菌を安定して培養できる技術の確立に挑戦しています。この共同研究には、森下仁丹株式会社が加わり、耐酸性シームレスカプセルの開発などこれまで都向けた業績も挙げています。
腸内細菌は、ヒトの生命活動に欠かせない存在ですが、中には「難培養性腸内細菌」と呼ばれる、培養が非常に難しい菌も多くいます。近年のメタゲノム解析やメタボローム解析の進展により、腸内細菌叢が健康維持に与える影響が明らかになりつつあるものの、まだその機能や意義が理解されていない菌が多く存在します。このような背景の中で行われる本共同研究は、挑戦的な試みといえるでしょう。
本研究では、慶應義塾大学、KISTEC、森下仁丹がそれぞれ持つ技術や知見を融合させ、難培養性腸内細菌の新たな培養技術を確立することを目指しています。この技術の開発が成功すれば、腸内細菌叢全体のカタログデータから個々の細菌の機能を詳しく解析することが可能になります。それにより、腸内細菌のバランスを保ちながら、より健康的な生活をサポートする新しい機能性食品の開発や、創薬研究への応用が期待されています。
例えば、森下仁丹株式会社の技術を用いて開発された耐酸性シームレスカプセルは、胃酸の影響を受けにくく、腸まで有用な微生物を届けることができます。このカプセル内で微生物が安定して培養できるのは、腸内細菌の研究において革新的な進展を呼び起こすでしょう。また、この研究により、腸内環境の改善策が具体的に見えてくることが多くの人々にとって希望となるでしょう。
慶應義塾大学先端生命科学研究所の役割
2001年に設立された慶應義塾大学先端生命科学研究所は、最先端のバイオテクノロジーを使用して菌や細胞の活動を計测し、そのデータを解析することで医療や食品開発に貢献しています。「統合システムバイオロジー」という新しい分野を切り開く研究機関として、世界中から高い評価を受けています。
神奈川県立産業技術総合研究所との連携
さらに、本共同研究は地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所とも連携し、地域の産業振興を目的としています。この研究機関は、技術革新を促進するために設立されたもので、中小企業に対しても有益な研究結果を提供し続けています。
このように、腸内細菌叢の研究は、複数の機関や企業が共同で進めることにより、より深い知見を得る土壌が築かれています。本研究の成果が、腸内環境の改善や健康の維持につながることを多くの人が期待しています。今後の進展に注目が集まります。
会社情報
- 会社名
-
森下仁丹株式会社
- 住所
- 大阪市中央区玉造1丁目2番40号
- 電話番号
-
06-6761-1131