食品ロス削減とサプライチェーン効率化の新たな挑戦
日本国内では、毎年522万トンもの食品ロスが発生しています。その中でも、事業系の食品ロスは約275万トンを占め、企業にとって大きな課題となっています。食品ロスは仕入れの無駄を生むだけでなく、廃棄コストを伴い、利益を圧迫する要因となっているのです。2023年の法改正も追い風となり、企業はこの問題に対する対応を真剣に検討しています。
背景と課題
食品流通業界は賞味期限や消費期限という時間的制約の中で活動しています。これを乗り越えるためには、在庫がどの程度残っているか、またその商品がいつまで消費可能かを正確に把握することが求められています。近年のトレンドとして、個別商品に対する在庫管理が進化しており、ITを活用することで在庫精度や発注精度の向上が期待されています。
実証実験について
新たに始まるこの実証実験は、賞味・消費期限別に在庫を管理し、そのデータを用いたダイナミックプライシングを通じて、サプライチェーンの効率化と食品ロス削減を図るものです。商品には、入荷時に二次元バーコードが印字されたラベルが貼り付けられ、これに基づいてダイナミックプライシングツールが稼働します。このツールは、在庫状況を考慮し、1日に数回自動で価格設定を行います。
プロセスの詳細
実験では、対象商品にはいくつかの条件が設定されています。同じ商品でも、賞味・消費期限に応じて異なる価格が設定され、価格は電子棚札やPOSシステムと自動的に連携されます。消費者は、表示された情報を基に選択し、通常通りに購入が行えます。
検証テーマ
実験の主要なテーマは以下の通りです。
1.
店舗業務の効率化
賞味・消費期限が迫った商品について、在庫状況に応じて自動価格更新を行うことで、手作業による価格変更の負担軽減がどれほど成果を上げるかを検証します。
2.
効果的な売り切り促進
在庫を可視化した上でダイナミックプライシングを適用し、特に消費期限が近い商品が効率的に販売できるかどうかを調査します。
3.
製造見込み数の精度向上
日配品などの短期商品については、見込製造の精度を上げることで食品ロスの削減を図ります。
実施概要
実験は佐賀県唐津市のまいづるキャロット浜玉店で、2023年1月24日から2月26日までの34日間、パン25商品を対象に実施されます。実施主体は、今村商事、サトー、西日本イシダなどの企業で構成されており、GS1 Japanなどの協力も得ています。
今後の展望
実証実験の成果は、今後の流通業界において、食品ロス削減に向けたさらなる改革に活かされる予定です。特に、ITを駆使したシステムは、今後もより高度化が進み、業界全体の生産性向上が期待されています。日本総研が推進するこのプロジェクトが成功に至れば、持続可能な流通業の新たなモデルが生まれることでしょう。
お問い合わせ
本実証実験に関する詳細な情報は、今村商事株式会社の林までお問い合わせください。080-3314-6063
この実証実験から得られる知見が、今後の食品業界における新しいスタンダードとして定着することをコンセプトに、サプライチェーンの効率化と食品ロス減少が進んでいくことを期待しています。