移民・難民の新世界地図
2024-06-28 14:39:27

「移民・難民たちの新世界地図」: ウクライナ発「地殻変動」一〇〇〇日の記録が描く、混沌とした現代世界

「移民・難民たちの新世界地図」: ウクライナ発「地殻変動」一〇〇〇日の記録が描く、混沌とした現代世界



2022年2月、ロシア軍によるウクライナ侵攻は、世界に衝撃を与え、ポスト冷戦時代の秩序を揺るがした。その混乱は、国境を越え、人々の移動、情報、資本など、あらゆるものを巻き込む巨大な“奔流”を生み出した。

本書は、ジャーナリスト村山祐介氏が、この“奔流”を1000日間にわたって追いかけた記録である。オランダを拠点とし、ウクライナ、地中海、北アフリカなど、3万キロに及ぶ取材の旅を通じて、彼は世界各地で目撃した現実を、圧倒的な筆致で描き出す。

移民兵器として森に放たれるクルド人家族、鉄の棺桶のような船で地中海に漕ぎ出すアフリカの人々、徴兵を逃れて雪の山に消えるウクライナの青年たち…。彼らの選択は、それぞれの背景や置かれた状況によって異なり、それぞれの物語には、悲しみ、苦しみ、希望、そして諦めが混ざり合う。

村山氏は、単なる「移民・難民」という言葉では括れない、彼らの複雑な現実を、様々なエピソードを通じて鮮やかに浮き彫りにする。たとえば、遺体だらけのブチャの「死の通り」、偽情報が蔓延するSNS、そして「ロシアの世界」に引き寄せられる人々…。そこには、現代社会が抱える様々な問題、戦争、貧困、差別、そして情報操作などが複雑に絡み合い、人々の運命を左右している。

本書は、決して楽観的な未来を提示するものではない。しかし、私たち自身の安全と自由、そして社会のあり方について深く考えさせられる、重要なメッセージを伝えている。

本書を読めば、世界が抱える問題、そして私たち自身の責任について、これまでとは違う視点で考えることができるだろう。

『移民・難民たちの新世界地図』のポイント



2022年2月のウクライナ侵攻以降、世界各地で目撃された現実を、3万キロの取材で明らかにする。
氷点下の森に放たれる移民兵器、遺体だらけのブチャ、鉄の船が漂う地中海…様々な場所で出会った人々の壮絶な物語が描かれる。
現代社会が抱える問題、戦争、貧困、差別、情報操作などが複雑に絡み合い、人々の運命を左右している。
世界の混乱と人々の選択を通じて、私たち自身の責任について深く考えさせられる。

村山祐介氏について



村山祐介氏は、1971年生まれのジャーナリスト。立教大学法学部卒業後、三菱商事、朝日新聞社を経て、2020年にフリーに。オランダ・ハーグを拠点に、国境を越える動きを追う「クロスボーダー」をテーマに取材し、マスメディアや自身のYouTubeチャンネル「クロスボーダーリポート」などで発信している。

アメリカ大陸を舞台にした移民・難民を追った取材で、2018年にATP賞テレビグランプリ・ドキュメンタリー部門奨励賞、2019 年度にボーン・上田記念国際記者賞、2021年にノンフィクション書籍『エクソダス アメリカ国境の狂気と祈り』(新潮社)で講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞している。


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