組織の見えない構造
2026-05-08 10:54:00

組織の見えない構造を捉える新たな試み──アトラクター概念の活用

組織の見えない構造を捉える新たな試み



最近、株式会社DroRが発表した研究論文が、組織の観察に新しい視点を提供しています。この論文では、アトラクターという概念を用いて、組織の安定状態に関する「見えない相互作用構造」を把握しようとする試みがなされています。

アトラクターとは何か?



アトラクターとは、組織が外部からの働きかけや変化を受けても、時間の経過と共に戻ろうとする力を指します。この論文の中で提唱される臨床組織科学(COS)は、複雑系科学、神経科学、組織心理学、行動科学を取り入れ、組織の安定を再生産する相互作用構造を理論化しています。

具体的には、会議で新しいルールを導入しても、最終的には元の発言パターンに戻る様子や、心理的安全性が高まった後でもネガティブ情報が再度伏せられる現象などが挙げられます。これらの事例は、アトラクターが組織文化や風土と異なる動的な復元力を持つことを示しているのです。

アトラクターを観察するための指標



DroRの研究では、アトラクターの状態を観察するための具体的な指標として、コミュニケーション応答潜時や集団場面での発言分布、ネガティブ情報の開示への反応が提案されています。これらの指標を用いることで、実践者は組織の「見えない構造」を観察しやすくなります。

1. コミュニケーション応答潜時: メッセージを受け取ってからの応答時間を測ります。
2. 集団場面での発言分布: 誰が発言し、誰が沈黙するのか、役職によって発言が偏る状況を観察します。
3. ネガティブ情報の開示への反応: 問題や失敗が共有された時の反応を測定します。

これらの観察指標は、組織の安定状態を理解するための手段を提供するものの、完全な測定体系ではないことが強調されています。将来的な実証研究によって、これらの指標の有用性が検証されることが期待されています。

アトラクターの変化と組織文化の違い



一般的に「組織文化を変える」という表現は多くの企業で使われていますが、これはしばしば理念や価値観の浸透を図る活動に偏ります。一方、アトラクターを変えるという視点から見ると、組織の安定状態を再生産している相互作用パターンを分析することが重要です。具体的には、どのような応答規範が問題共有を抑制しているか、どんな会議の構造が発言の偏りを生んでいるのかを探ることになります。

アトラクター遷移の概念



COSでは、組織を変革する際、単に一時的な働きかけにとどまらず、アトラクターの遷移を目指す姿勢が求められます。この遷移がなされる時、新しい相互作用パターンが自動的に形成されることが期待されます。例えば、問題共有の捉え方が「リスク」から「信頼の表明」に変わることが挙げられます。

しかし、COSはアトラクター遷移を完全に設計・制御できると主張しているわけではありません。組織は複雑な適応系であり、介入が遷移の確率を高めることができるものの、結果そのものは確定できないというスタンスを取っています。

COSの研究の意義



本論文は、COSの技法が現時点では効果が実証されているわけではなく、あくまで理論的な枠組みを提示するものとされています。本研究により、既存の知見を統合し、組織改革を新たな視点で捉える努力がなされています。代表取締役の山中真琴氏は、組織における復元力を観察可能にすることに価値を見出しており、COSの目指す方向性を明確に示しています。

今後の展望



株式会社DroRは、今後もCOSに関する研究を続けていく予定です。5月11日には「COSは神経測定をしない」というテーマで新たな情報を発信する予定であり、神経科学との関連や組織神経科学との違いについても詳しく解説される予定です。

このような新しい視点を通じて、組織の見えない構造に対する理解が進み、実践に役立つ知識が広がることが期待されます。


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会社情報

会社名
株式会社DroR
住所
東京都渋谷区恵比寿西2丁目4番8号ウィンド恵比寿ビル8F
電話番号

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