白血病を経験した母の絵本
岐阜県高山市でシフォンケーキの製造・販売を手掛ける「思歩音(しふぉん)」のオーナー、荒田由香さんが、新たに出版した絵本『シフォンケーキのしふぉんくん』を昨年12月に市内の小中学校に寄贈しました。荒田さんは自身の娘さんを急性リンパ白血病で失った経験を持ち、その痛みを糧に、命の大切さを伝える活動を行っています。
絵本の誕生背景
荒田さんは、シフォンケーキの売り上げの一部を小児がん支援のために寄附しており、さらにその活動を広めるために絵本を書くことを決心しました。彼女は命の重みを伝え、困難な状況に置かれた子どもたちやその家族を勇気づける作品を創りたいと考えました。絵本には、小児がん支援のシンボルマークであるゴールドリボンを身に着けたキャラクター「しふぉんくん」が登場し、楽しいイラストと共に強いメッセージを伝えています。
この作品はすでに市内31校に寄贈され、授業の一環として道徳の時間に活用されるなど、多くの子どもたちに読まれています。荒田さんが絵本を通じて、どのように命の大切さを伝えたいのか、彼女自身の言葉で振り返ってみると、「私はこの絵本で、子どもたちが命について考えるきっかけを提供したいと思っています。娘が教えてくれた大切なことを、次の世代に繋げたいのです。」と語っています。
寄贈に対する感謝
先日、荒田さんは高山市長の田中明さんを訪問し、長らくの寄附活動に対する感謝状が贈られました。田中市長は「子どもを失うという辛い経験から、こうした素晴らしい活動を続けているのは、まさに尊敬に値します」とその取り組みへの敬意を表しました。また、見山教育長も「この絵本が市内の学校で使われ、子どもたちが命の大切さを学び取っているとの感想を多くいただいています。本当に感謝申し上げます」とコメントしました。
荒田さんの思い
荒田さんは「シフォンケーキを通じて多くの方に寄付をし続けてきましたが、いずれ私は娘のもとに行く日が訪れることを考えると、その間に何かしらの形で小児がんを支援し続けたくなりました。この絵本が、私がいなくなった後でも、多くの人に届き、命の大切さを伝えられる橋渡しになることを願っています」と、その想いを語ります。
荒田さんは、この取り組みを通じて人々に勇気や希望を与え、未来へと繋げられるよう、今後も活動を続けていく決意を示しています。彼女の絵本が、今回の活動を通じて多くの子どもたちに届くことを、私たちも心から願っています。