スーダンのバシャール教育病院が暴力の影響で活動停止
スーダンの首都ハルツームに位置するバシャール教育病院は、国境なき医師団(MSF)による医療活動が暴力的な攻撃を受け、その結果として全ての医療サービスを停止しました。この決定は非常に厳しいものであり、病院は長い間、困難な状況下で活動してきましたが、今や患者と医療スタッフの生命が脅かされているとMSFは語ります。
攻撃の歴史と背景
ハルツームでの内戦が2023年から始まって以来、この病院は多くの攻撃にさらされてきました。特に、準軍事組織である即応支援部隊(RSF)が支配する地域内で、武装した者たちが医療スタッフを脅かし、時には治療を受ける患者よりも自らの仲間を優先させるように求めることが多く見られました。
例えば、2024年11月11日には、病院内で患者が射殺される事件も起き、12月には襲撃者が救急病棟内で武器を使って医療従事者を脅迫する事件が発生しました。このような事態は、バシャール教育病院のスタッフや患者の安全が無視される結果をもたらしています。
MSFの緊急対応コーディネーター、クレア・サン・フィリポ氏は、病院内での暴力が及ぼす影響について「私たちが目にしている苦しみは甚大で、暴力が日常的に続いています。医療ニーズが増大するなかで、安全が確保されていないため、活動を続けることは不可能です」と語ります。
医療提供の現実
バシャール教育病院は、妨害される物資の搬送や医療スタッフの移動などの難局に直面しながらも、地域の人々に無償で医療サービスを提供し続けてきました。しかし、戦闘の激化に伴い、患者の流入が増加し、外部からの支援が得られなくなっている現状があります。
最新のデータでは、2025年1月5日には病院の1キロメートル圏内で発生した空爆により、50人が救急処置室に運ばれ、そのうち12人は到着前に死亡していたことが報告されています。このように、外的な要因により医療提供が極度に困難になっているのです。また、コレラやマラリア、デング熱といった感染症の流行にも対応しなければならず、栄養失調の問題も深刻です。
安全確保の重要性
サン・フィリポ氏は、医療の提供が脅かされている現状に対し強く訴えています。「医療ニーズがこれほど高まっている中で、病院での治療が中止されるのは考えられません。一つの団体が活動を停止すれば、生死の境をさまよっている人々を救う医療が遠のいてしまいます。医療提供は、安全な環境において行われるべきです」とのことです。
バシャール教育病院は、長年にわたって医療の最前線で活動してきましたが、安全の確保が不十分な現在、再開の目処は立っていない状態です。MSFは今後ハルツーム州の他の地域を含め、スーダン12州での活動を継続し、医療提供の再開が望まれる状況になることを願っています。