再造林放棄問題の背景
日本の国土の約7割を占める森林は、多くの重要な機能を果たしています。これらの森林は、木材を供給するだけでなく、土砂災害の防止や水源の維持、生物の多様性を保つなど、国土の安全や環境保全において欠くことのできない存在です。
特に人工林は、日本の森林の40%を占めており、戦後の植林によって育てられたものが多く、現在では伐採適齢期を迎えています。このままでは、人工林の伐採が今後進むことが予想されていますが、伐採された後には「植林」が必要です。この「造林作業」には、苗木を植えて成長を促す作業や、雑草や不要な木を取り除く作業が含まれますが、現在のところ多くは手作業に依存しています。
これらの作業は過酷であり、特に急斜面での作業は肉体的にも厳しく、労働者が敬遠しがちです。これが原因で山間部では人手不足が深刻化しており、その結果として「再造林放棄」が進行しています。この問題は、短期的には災害のリスクを高め、長期的には林業自体の衰退や地域経済の悪化につながる恐れがあります。
林業界を超えた解決策の模索
林業だけではこの深刻な問題を解決することは難しいとされます。造林作業に革新をもたらすためには人手不足を解決する新たな方法が求められていますが、造林分野は市場が小さく研究開発を行う企業も少なく、さらには異業種との交流が薄いのが課題です。このため、自然発生的なイノベーションがなかなか生まれない状況です。
このような状態を打開するためには、他の分野からの知識や技術を導入するオープンイノベーションが不可欠です。林野庁は「令和元年度持続可能な森林づくりイノベーション創出事業」を通じて、造林分野でのオープンイノベーションを推進する実証プログラム、「Sustainable Forest Action」を開始しました。
“Sustainable Forest Action”の紹介
このプログラムでは一般参加者から、造林に関する課題解決のための事業アイデアを募集します。林業に詳しい次世代リーダーと異分野の技術を持つ人々を結びつけ、約2ヶ月の期間で具体的な事業アイデアを形にします。このプログラムを通じて、ビジネスや技術の専門家からのアドバイスを受け、最終的に投資家や事業会社の前でプレゼンテーションを行う機会が得られます。
募集の詳細
造林に関連する事業であればその方法は問いません。参加者は、林業経験者と異業種の人材の両方を求めています。参加条件は、林業課題に対する解決意識が高く、事業化に関与する意欲があることです。国籍や職業も問いません。
参加者は、キックオフイベントや林業体験会、合同合宿、デモデイに基本的には参加する必要があります。応募削除にはチーム単位での参加が必要であり、一つのチームが一つのアイデアを提出します。
詳細は特設WEBサイト(
リンク)でご確認ください。
実施体制と協賛
このプログラムは林野庁の委託を受け、BECおよびSperoが運営しています。様々な企業や団体が協賛し、支援をしています。これにより、再造林問題という日本の重要な課題への新たなアプローチが期待されています。