デジタルトランスフォーメーションに迫る課題
最近、株式会社インフォマートが行った実態調査によると、2025年の崖と呼ばれる問題が、多くの企業にとって避けがたい現実であることが明らかになりました。この調査は、企業や自治体のIT部門やDX推進担当者、経営者を対象に実施され、360名が回答しました。
2025年の崖とは?
「2025年の崖」というのは、経済産業省が2018年に発表したDXレポートに基づく概念で、多くの企業が古いシステム(レガシーシステム)を抱え続けることで、将来的に経済的損失が生じることを指摘しています。具体的には、2025年以降にこれらのレガシーシステムが経済に与える影響は、年間最大12兆円に達する可能性があります。
調査結果の概要
調査の結果、参加者の約6割が「2025年の崖」について、あまり理解が進んでいないことが分かりました。具体的な数値では、内容を完全に理解しているのは27.2%、概要を把握しているのは14.2%に過ぎません。一方で、全く知らないという回答も42.2%に上りました。これは、未だ多くの企業がこの問題に対処する準備が整っていないことを示しています。
さらに、約80%の企業が2025年の崖が自社に与える負の影響を懸念していることも明らかになりました。具体的には、システム障害やセキュリティリスクが増大するなどの影響が挙げられ、業務運営に直結する深刻な問題とされています。
レガシーシステムの存在とその影響
調査によれば、回答者の6割以上が、古くなったレガシーシステムを抱えていることが判明しました。ビジネスモデルの変化に対応できないこれらのシステムは、企業の成長や競争力を阻害する要因となっています。特に製造業や運輸業では、約80%がこのようなシステムを抱えているとのことです。
このレガシーシステムを刷新することが難しい要因として、日常業務に追われて人手を割けない現状や、慣れ親しんだ既存のシステムへの固執が挙げられます。さらに、ブラックボックス化しているため影響が分からないという問題もあります。
未来のIT投資について
それでも、今後のIT関連投資に関しては、3割以上が増加見込みを示しています。具体的には、DX推進やセキュリティ対策の強化、新規事業の開発が目的となっているようです。このことは、企業が未来に向けて前向きな施策を講じようとしている証拠とも言えます。
まとめ
今回の調査では、2025年の崖が多くの企業に影響を及ぼす可能性が高いことが分かりました。特にレガシーシステムの存在が大きな壁となりつつあります。しかし、IT投資を増加する計画が見込まれていることから、企業は新たなシステムを取り入れ、デジタルトランスフォーメーションを推進する意欲を持っていると考えられます。社内の業務標準化や効率化に向けた取り組みが、今後の競争力を高める鍵となるでしょう。