IT人材市場の活況と企業の採用戦略の現状
IT分野の人材採用市場は、依然として活発な状況を維持しています。最近、レバテック株式会社が発表した「レバテックIT人材白書2025」によると、約4割の企業が採用人数を増加させたとのことです。特に、エンジニア採用においては、前年に比べて採用目標を達成したとする企業が45%を占め、今後の市場の見通しにも期待が持てます。
しかし、その一方で、約2割の企業が採用目標を達成するのに苦労しているとの調査結果も見受けられ、企業ごとに雇用の流動性や人材の確保が一筋縄ではいかないことを示しています。
攻めの採用戦略とAI導入
このような人材市場の中、企業は新しい採用戦略として“攻めの採用”にシフトしています。新たに採用チャネルを増加させた企業は35.7%に達しており、その中でもスカウト型求人媒体が47.6%となるなど、企業が積極的に求職者にアプローチする姿勢を強めています。また、生成AIの導入も進んでおり、実際に約2割の企業がすでに活用していると回答しています。採用活動におけるAIの主な用途には、求人票の作成や採用計画の立案などが含まれ、業務効率化に期待が寄せられています。
エンジニアの転職活動状況
調査によれば、IT人材の約4割が転職に関心を持っています。「転職活動中」と答えたのは7.9%、また「検討中」とした人は30.7%に及びます。転職を考えているエンジニアの中には、今後6ヶ月以内に転職する予定の人も多く、雇用の流動性がさらに高まることが予想されます。
年収アップの実績
転職経験者の中で、約6割が転職によって年収が増加したと答えており、その中には100万円以上の増収を果たした人も約24%存在しています。こうした成果は、企業にとっても人材の確保が急務であることを示唆しています。
IT人材不足の厳しい現実
IT人材についての分析は、将来的な問題も浮かび上がらせます。2030年には約79万人のIT人材が不足すると見込まれており、少子高齢化の影響で労働力人口の減少は今後も続く見込みです。特に、専門知識やマネジメントスキルを求める企業にとって、高いスキルを持つ人材の確保は重要な課題として浮上しています。これに対し、企業には採用活動の強化だけでなく、人材育成戦略や組織力強化のための多面的な取り組みが必要です。具体的には、リスキリングプログラムの整備や、離職防止策の強化が求められてくるでしょう。
結論
この調査からわかることは、IT人材市場が活気を見せる一方で、多くの企業が採用目標を達成するための取り組みに難しさを感じていることです。今後の市場の動向を注視しつつ、各企業が持つ特有の戦略をいかにして強化していくかが鍵となるでしょう。