2023年に国の登録無形民俗文化財として認定された「近江のなれずし製造技術」を記念し、滋賀県では県民に対してナレズシに関する大規模なアンケート調査を実施しました。この調査は、近年の食文化の変化やナレズシへの関心を探索するためのものであり、調査結果が公表されました。
調査は、滋賀県内在住の方々を対象に実施され、合計2,893件の回答が得られました。その中でも滋賀県在住者に特化した2,128件分の分析結果がまとまり、『フィールドレポーターだより』の58号として公開されています。なお、県外在住者の結果については、次回の記事でさらなる情報が提供される予定です。
調査結果のハイライト
調査結果からは、滋賀県民のナレズシ、特にフナズシへの関心や食習慣が明らかになりました。ここでは主なポイントを紹介します:
- - フナズシの消費経験: 滋賀県在住者の約75%がフナズシを食べたことがあると回答しました。これは1992年の調査(約85%)と比較してわずかな減少にとどまっています。
- - 自宅での製造: フナズシを試したことのある人のうち、自宅で製造しているのは約13%に留まり、これも1992年の約15%と大きな変化がないようです。
- - 最近の食習慣: 調査に参加した人の中で、過去10年と比較して食べる機会が減ったと感じている方が約34%でしたが、新たに食べる機会が増えたと感じている方も約21%おり、消費行動の変化が見られます。
- - 多様なナレズシ: 調査ではフナズシに加えて、サバズシやアユズシ、ウグイズシといった40種類以上のナレズシが確認され、驚くべき多様性が明らかになりました。特にブルーギルやブラックバスを使ったナレズシも見られ、地域特有の食文化が色濃く反映されています。
今後の予定
調査結果をまとめたポスターは、琵琶湖博物館で開催される「びわ博フェス」にて展示されています。このフェスは11月16日と17日の2日間にわたり、ナレズシの魅力を再発見するための良い機会となるでしょう。多くの方々に滋賀の食文化を体験してもらえることを期待しています。
参考資料
この調査結果は、琵琶湖博物館の公式ウェブサイトからダウンロード可能な『フィールドレポーターだより』です。詳細は以下のリンクをチェックしてください。
滋賀県のナレズシ文化の普及と理解の向上に向けてのカギとなるこの調査。今後も地域コミュニティが一体となって、滋賀の伝統的な食文化を育んでいくことが期待されます。