モルゲンロット、スーパーコンピュータの運用最適化を提案
モルゲンロット株式会社は、2025年6月10日から13日までドイツ・ハンブルクで開催された国際スーパーコンピューティング会議「ISC High Performance 2025」において、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と共に進めたHPC/AIサーバーの効率的な運用に関する共同研究の成果を発表しました。この研究は、コンピューティングパワーのインフラストラクチャーソリューションを提供する同社が目指す「必要な時に必要な分だけ計算力にアクセスできる世界」に向けた重要なステップとなりました。
共同研究の内容
本研究の主な目標は、JAXAが運用するスーパーコンピュータシステム「JSS3」の稼働実態を詳細に可視化し、計算資源の最適利用とエネルギー消費の効率化を図ることでした。具体的には、ジョブ単位やノード単位での利用結果を数値化し、分析を行いました。
発表では、モルゲンロットの執行役員CTOである伊藤 寿氏が、同社が開発したモニタリングソフトウェア「MORGENROT®︎ Arthur」とEnergy Aware Solutions社の消費電力計測ソフトウェア「EAR」を用いた成果を詳細に報告しました。これにより、JSS3の主要システムであるTOKI-SORAの48ノードにおけるCPU稼働状況の月次カレンダー表示が実現し、稼働率の変動を捉えることが可能になりました。
技術的な成果
さらに、分子動力学シミュレーションソフト「LAMMPS」を使い、GPUの有無による計算リソースの消費エネルギーの違いも明らかにされました。例えば、32CPU構成と比較して、1CPU+1GPU構成ではシミュレーション時間を約1/8に短縮し、さらに電力消費量も75%以上削減できることが実証されました。この結果は、GPUリソースの適切な活用が省エネルギーに寄与することを示しています。
継続的な取り組み
伊藤氏は「大規模HPC環境の稼働状況の把握が重要であり、エネルギー消費の多いGPUの運用ポリシーがHPC/AIサーバーの効率的な運用に不可欠だ」と述べ、今後も研究を進め、社会実装に向けた活動を推進していく方針を示しました。
モルゲンロットの未来
モルゲンロットは、今回の共同研究の成果を通じて、HPC/AIサーバーの運用の高度化に向けた知見を提供し、「MORGENROT Arthur」の機能強化やパートナー連携を促進することで、企業や研究機関がGPUリソースを高度に運用できる環境を整備し続けることを目指しています。
会社概要
モルゲンロットは、2019年に設立されたスタートアップ企業で、計算リソースの可視化・管理・最適化を通じて、企業の計算力のシェアリングを実現することを使命としています。今後もイノベーションのための計算力に対する需要が高まり続ける中、計算力不足の課題解決に向けた取り組みを強化してまいります。
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