ビジネスと人権シンポ
2021-09-14 10:00:10
ビジネスと人権を考えるシンポジウム:企業の責任と対応
ビジネスと人権を考えるシンポジウムの開催
近年、企業が人権を尊重することが求められるようになってきています。国際的な関心が高まり、国連による「ビジネスと人権に関する指導原則」が10周年を迎え、持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みが不可欠だと再確認されています。特に日本では、2020年10月に「ビジネスと人権に関する行動計画(2020-2025)」が策定され、この機会に多くの人々にビジネスと人権について考えてもらおうという試みが続いています。
基調講演1:国際的な人権動向
シンポジウムでは、国連のビジネスと人権作業部会の元委員長、アニタ・ラマサストリ氏が基調講演を行いました。彼女は、企業が活動を行う中でも人権への負の影響を予防し、もし侵害が発生した場合には被害者が救済を受けられるようにする責任があると強調しました。この中で、児童労働の禁止や人間らしい労働環境の提供、新技術に伴う人権の考慮といった具体的な課題が挙げられました。特に、コロナ禍を経て、多くの企業がこれらの問題に取り組む必要性が増しているとし、先進国での人権デュー・ディリジェンスの義務化の進展についても触れ、これは国際的にも影響を及ぼす点が重要視されています。
基調講演2:日本の行動計画
続いて、SDGパートナーズの代表取締役である田瀬和夫氏が登壇し、日本の「ビジネスと人権」に関する行動計画について解説しました。彼は、90年代からのグローバル企業の進出に伴う人権問題の研究が、今回の指導原則の基盤となっていることを示し、企業が生き残るためには人権尊重が不可欠であると述べました。具体的には、児童労働や強制労働の問題が企業の評判、ひいては持続可能な成長に直結することを訴えました。
パネルディスカッション
シンポジウムの中盤では、パネルディスカッションが行われました。味の素株式会社の芝草哲郎氏は、同社が人権デュー・ディリジェンスを進める過程で得た知見を共有し、特に移民労働者に関するリスクが顕在化したことを説明しました。彼の会社は、改善要求を行うためのスマートフォンアプリや多言語の相談窓口を導入しており、こうした取り組みが企業価値向上にもつながると強調しました。
また、明治ホールディングスの山下舞子氏は、サステナビリティ活動の重要性を強調し、具体的にはカカオの原産国での支援活動を通じて人権尊重が実現できると語りました。彼女は、2030年までに全てのカカオをサステナブルなものにすることを目指しています。
イオン株式会社の新井裕二氏は、サプライチェーン全体での人権活動を推進していることを説明し、特に外国人技能実習生の権利保護に注力していると発表しました。この取り組みは、企業が事業を行う上での責任であると考えています。
今後の展望
最後に、シンポジウムの中では「Myじんけん宣言」といった、人権尊重を促進する取り組みについても触れられ、多くの企業や団体が参加することが期待されています。参加者には、今後もこうした活動が皆に広がることが必要だと強調されました。
ビジネスと人権の問題は、今後ますます重要になってくることでしょう。企業が責任を果たし、持続可能な社会を築くためには、全ての人々がこの問題に気を配ることが求められています。
会社情報
- 会社名
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公益財団法人人権教育啓発推進センター
- 住所
- 東京都港区芝大門2-10-12
- 電話番号
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