ノートとタブレットの実験
2024-07-31 14:43:26

デジタルとアナログの違いを明らかにしたノートの記憶効果実験

ノートの記憶効果がタブレットを上回る?



最近、デジタル端末が学校教育に浸透する中、コクヨ株式会社は立命館大学との共同で、アナログのノートとデジタルタブレットの記憶効果を比較する実験を行いました。その結果、ノートへの筆記が記憶に与える影響が非常に高いことが判明しました。

研究の背景



2024年から、小学校5年生から中学校3年生に対しデジタル教科書が導入され、ICTの利用が広がります。しかし、コクヨが行った調査によれば、紙のノートがデジタル端末よりも「書いたことを覚えやすい」「目が疲れにくい」「書き込みやすい」といった点で高い満足度を得ていることがわかりました。これを受けて、ノートとタブレットの記憶効果を科学的に検証する必要があると考えたのです。

実験の概要



実験は2回に分けて行われ、大学生が被験者として参加しました。初めに、ノートとタブレットの双方を用いて学んだ内容について、それぞれのメモを見返して暗記する形式で勉強しました。その後、15問のテストを受けて記憶を評価しました。2回目のテストは、最初の試験から2.5か月後に行われ、同一のメモを使って復習しました。

具体的には、被験者は動画を視聴しながらメモを取り、見返したり書き込んだりすることで学習しました。この過程で記憶への影響を成績評価、主観評価、生理計測評価の3つから分析しました。

被験者


  • - 初回:大学生21名
  • - 再試験:大学生19名

結果は如何に?



(1) 成績評価


実験による直接の記憶テストでは、ノートを使用した被験者がタブレットを使用したグループよりも22%高い得点を達成。この結果は、2.5か月後の復習テストでも同様で、ノートの方が20%得点が高い結果となりました。

ノートの平均得点は9.4点、タブレットは7.7点でした。再テストでも、ノートは7.1点、タブレットは5.9点という成績でした。

(2) 主観評価


アンケート調査では、ノートの「見返しやすさ」と「覚えやすさ」が、それぞれ24%、28%高く評価されました。特に、ノートが全体を視覚的に把握しやすいため、記憶に残りやすいことが指摘されていました。書いている感覚が触覚的にも覚えやすさを強化するようです。タブレットの利点としては、すぐに修正ができる点が挙げられました。

(3) 生理計測評価


生理的な指標からも結果が得られました。ノートへの筆記時、被験者のリラックス度はタブレットに比べて高く、ストレス度は低いことが確認されました。この実験を通じて、ノートとタブレットの使用がもたらすメンタル的な影響が科学的に証明されました。

まとめ


今回の共同研究は、ノートの持つ記憶効果を科学的に明確に示し、今後の学習方法に対する示唆を得ることができました。グラフや数値による明確な証拠は、これからの教育現場でノートが持つ価値を再評価する材料となるでしょう。コクヨは引き続き、この成果をもとに学生が効果的に学べる商品を開発していく意向です。

共同研究者の紹介


本研究を推進した立命館大学の岡本尚子准教授は、教育工学を専門にしており、研究結果は2024年の日本生理心理学会大会で発表される予定です。今後、さらなる研究が期待されます。


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会社情報

会社名
コクヨ株式会社
住所
大阪府大阪市東成区大今里南6-1-1
電話番号
06-6976-1221

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