BMP3bの新たな役割とその医療への影響
九州歯科大学の分子情報生化学分野に所属する古株彰一郎教授を中心とした研究グループが、骨形成タンパク質BMP3b(Bone Morphogenetic Protein 3b)の機能について新しい洞察を得ました。この研究は、BMP3bが骨形成を抑制し、骨量に負の影響を与えることを発見しました。この重要な発見は、2024年10月24日にELSEVIERの骨に関する専門誌「Bone」に掲載されることが決まっています。
BMP3bとは?
BMP(骨形成タンパク質)は、20種類以上存在する骨に関連する因子です。特に、BMP2や4は「骨を作る」因子としてよく知られていますが、新たに注目を浴びているBMP3bは、その存在自体が骨形成に重要な役割を果たしていることが今回の研究で明らかになりました。これまで、BMP3bは脳や脂肪、骨格筋といったさまざまな領域で機能することが知られていましたが、骨においてはその具体的な役割が未解明でした。
研究の進展と成果
研究チームは、BMP3bを欠失させたマウスを用いてその機能を解析しました。その結果、BMP3bが欠損したマウスでは骨量が増加していることが観察されました。通常、骨は骨芽細胞によって生成され、逆に破骨細胞によって吸収されるというリモデリングが行われており、このバランスが保たれることで健康な骨が維持されています。
しかし、BMP3bの欠失によって、骨芽細胞の分化が抑制されないことが明らかとなり、これは特に間葉系幹細胞の活性と関連しています。研究者たちは、BMP3bがBMP2やBMP4といった「骨を作るBMP」が誘導するシグナルを抑制することで、骨芽細胞の形成を減少させる可能性がある事を発見しました。この知見は、骨の生成を制御する新しいメカニズムを示唆しています。
今後の展望
日本は超高齢社会を迎えており、骨粗しょう症の患者数は増加の一途を辿っています。この研究成果により、BMP3bの機能を抑制する中和抗体を用いた新たな骨粗しょう症治療薬の開発が期待されています。また、従来、ヒトでの効果が十分でないとされていたBMP2ですが、今後はBMP3bの中和抗体と組み合わせることで、その効果を引き出すのではないかと考えられています。
研究に関する最終的なコメント
古株教授は、この研究の成果が多くの研究者の協力のもとで実現したことに感謝の意を表しました。今後も、この分野の研究が続けられることで、より多くの医療に貢献できることを期待しています。
研究の詳細と背景について
本研究は、内外の教育機関や研究機関との連携により進められ、九州歯科大学としても独自の技術と知見を活かしています。これからも、骨形成に関する研究が進行し、骨の健康を保つための新たな治療法が開発されることが期待されます。詳しい内容に興味のある方は、九州歯科大学の公式ウェブサイトにアクセスしてさらなる情報をチェックしてください。
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