新たな視点から見る自動車整備士の職業
2025年3月、関東工業自動車大学校が行った調査では、10代から20代の若者113名を対象に自動車整備士に関するイメージが浮き彫りにされました。この調査からは、若者たちがこの職業に抱く認識や魅力、さらにはその背後に潜む課題が見えてきました。
自動車整備士への認知度
調査結果によると、「よく知っている」と答えた人は26.7%に過ぎず、緊急的な役割や日々の業務内容に対する理解は非常に限られていました。多くの若者は、整備士がオイル交換やタイヤ交換を行うことは知っているものの、それが安全点検や故障診断を含むという専門的な業務も担っていることについては知らないケースが多いのです。この傾向が「油っぽい」や「力仕事」という個別のイメージを生み出し、専門職としての重要性が伝わりにくくなっています。
整備士のイメージと魅力
自動車整備士に対する印象を尋ねたところ、64%の人が「車好きには魅力的な仕事」と答え、56.1%が「手に職がつく」という理由から前向きに捉えています。しかし、一方で「体力的にきつそう」と感じている人は52.6%、また「汚れそう」と考える人も43.9%と、現場環境の厳しさを懸念していることも分かりました。さらに「収入が安定している」との答えはわずか16.7%であり、多くの人がEV化や自動運転といった進化する業界に不安を寄せている様子も浮かび上がりました。
整備士に対する興味は薄い
興味の有無に関しては、わずか18.4%が自動車整備士を考えたことがあると回答しました。大多数がこの職業に対する具体的な理解が不足しており、職場環境や将来性への不安が影響していると考えられます。この背景の中で、整備士としての魅力やキャリアの向上に向けた改善が必要だと感じる声も多く聞かれました。
魅力を高めるための取り組み
調査から特に注目されたのは、自動車整備士の給与や待遇を向上させることが51.8%の若者から支持されている点です。つまり、専門性や責任に見合った報酬が整っていないとの認識が広まっています。そのほか、「若者向けの職業PR」(24.6%)や「労働時間・休日の見直し」(17.5%)といった意見が多く寄せられており、デジタルメディアを活用した広報や、より働きやすい環境の確保が求められています。また、教育や研修制度の強化も必要とされており、このような仕組みがあれば若者の関心が高まり、整備士の魅力が広がる可能性があると考えられます。
調査を通じて見えた課題
総じて今回の調査から、自動車整備士という職業は多くの若者に名前こそ知られているものの、その背景にある具体的な仕事内容や専門性についての理解は十分でないことが判明しました。「車好きには魅力的な仕事」との肯定的なイメージとともに、「体力的にきつそう」とのマイナスイメージが根強く、特に収入の不安や将来性への懸念が若者の興味を妨げている要因となっています。
これらの課題を解決するためには、整備士という職業の具体的なイメージを正確に伝え、誤解や不安を解消する取り組みが不可欠です。デジタルメディアを活用した情報発信は、特に若者層に強くアプローチできる手段となるでしょう。未来を見据えた層の意識改革が求められる中で、教育や研修施設の充実がさらに専門職としての魅力を引き出す鍵となります。