AI時代の医療人材育成に向けての一歩
近年、医療の現場において、人工知能(AI)の導入が急速に進んでいます。それに伴い、医学生や研修医のAIに対する態度を理解し、教育プログラムを充実させることが求められています。特に医療分野でのAIの活用は、患者の安全性や診療の質の向上に寄与することが期待されており、それだけに医療人材がAIをどのように受け入れているかの理解は不可欠です。
こうした背景のもと、順天堂大学医学部の研究チームが新たに開発したのが「12項目AI態度尺度」です。この尺度は、医学生と研修医を対象にしたもので、AIに対する態度を精密に測定するためのものです。この研究は、藤川裕恭特任助教、森博威准教授、矢野裕一朗教授、内藤俊夫主任教授、そして西崎祐史教授およびダラム大学近代言語文化学部の近藤カヨ講師らの共同研究によって行われました。
研究の概要とその重要性
本研究の主な目的は、医療現場におけるAIの導入を促進するために、医学生や研修医がAIに対してどのような態度を持っているかを把握し、教育プログラムの設計や効果的な実装に役立てることです。これまで、日本にはAIに対する態度を体系的に測定する信頼性の高い尺度が欠けていましたが、本研究を通じて、その解決に向けた一歩が踏み出されました。
研究では、海外で開発された「12-item Attitudes Towards Artificial Intelligence scale (ATTARI-12)」を日本語に翻訳し、その後、全国の大学および病院を対象としたオンライン調査を実施しました。この調査には326名が参加し、因子分析を行った結果、尺度が2因子から構成され、高い構造的妥当性が確認されました。さらに、クロンバックアルファ係数が0.84という良好な値を示し、内的一貫性も確認されました。
今後の展開と期待される効果
この研究成果は、AI教育プログラムのさらなる設計や医療現場へのAI導入支援に貢献することが期待されています。順天堂大学医学部では、2026年から「医療とAI」をテーマとした新たな履修プログラムを開始する予定です。このプログラムでは、実施前後での態度変化を評価し、国際的な比較研究にも展開していくことを計画しています。これにより、医療現場でのAI活用行動や患者安全との関連を深く理解することが可能になります。
総括
AI技術の進化は医療分野にも多大な影響を与えており、医療人材がAIに対してどのように考え、どのように受け入れるかは、これからの医療の質を左右する重要な要素となります。今回の研究を通じて、医学生や研修医のAIに対する態度を測定するための新しい基盤が整備されることにより、日本の医学教育の質の向上が期待されます。
本研究は、JMIR Medical Education誌に2026年1月14日付で発表される予定で、多くの注目を集めることでしょう。その成果が、医療現場におけるAI技術の導入を更に円滑に進めるばかりか、医療の質向上にも寄与することが期待されています。