創薬支援分野における新たな一歩
積水化学工業株式会社(代表取締役社長:清水郁輔)は、南カリフォルニア大学医学部と株式会社サイトパスファインダーとの共同で、創薬支援に向けた遺伝子導入技術の社会実装に関する実証を開始することを発表しました。
研究の背景と課題
近年、動物実験の限界が浮き彫りとなる中、規制当局はヒトに近い研究モデルへのシフトを推進しています。特に肝臓の薬物代謝に関連する研究には、初代ヒト肝細胞が広く求められていますが、これにはいくつかの課題が存在します。初代ヒト肝細胞は培養が難しく、その機能を維持することが困難です。このため、肝細胞を安定的に培養できないことで、創薬研究には制約がありました。
こうした状況を打開するため、サイトパスファインダーが手掛ける固相トランスフェクション技術が注目されていますが、これもまた初代ヒト肝細胞に対しては適用が難しいという課題がありました。
新技術の導入
齋藤教授が率いる今回の共同研究では、積水化学によって開発された新素材「Ceglu™」を利用します。この技術を使うことで、初代ヒト肝細胞を安定的かつ均一に培養することが可能になることが判明しました。また、Ceglu™と固相トランスフェクション技術を組み合わせることで、初代ヒト肝細胞への遺伝子導入がこれまで以上に実現可能になります。
この新技術により、従来の動物モデルでは解析が困難だった細胞機能の詳細な研究が可能となり、肝疾患の理解が一層深まることが期待されています。
実証内容
本実証では、以下の内容が予定されています:
- - Ceglu™と固相トランスフェクション技術を用いた研究機関および企業向けサンプルの提供。
- - 南カリフォルニア大学においては、高品質ヒト肝細胞を用い、遺伝子導入の効率向上に関するさらなる研究と評価を行います。
これらは2026年3月16日から1年間にわたり実施されます。積水化学は、これまでの材料技術と知見を活かし、再生医療だけでなく創薬支援分野でも重要な役割を果たすことを目指しています。
期待される成果
本実証を通じて、初代ヒト肝細胞の高精度な機能解析が進むことで、創薬研究のスピードが大幅に向上し、医療分野における新薬の開発が加速するでしょう。さらに、肝疾患のメカニズム理解が進むことにより、多くの患者に新たな治療法が提供されることが期待されます。
研究者の声
齋藤教授は、肝臓生物学の専門家として、ヒト初代肝細胞研究を推進してきた実績を持ち、自身の研究成果が医療界での実用化へ繋がることを強く望んでいます。彼は今後も創薬支援分野での新たな展開が促進されるよう努めていく所存です。
今回の共同実証は、創薬支援に新たな可能性をもたらす大きな一歩となることでしょう。