スーパーコンピュータ「富岳」、Graph500ランキングで世界記録を更新!
理化学研究所、東京科学大学、株式会社フィックスターズ、NTT、そして富士通の共同研究グループは、スーパーコンピュータ「富岳」を用いた大規模グラフ解析において、世界的な性能ランキングである「Graph500」のBFS部門で、世界第1位を獲得したと発表しました。
これは「富岳」にとって10期連続の世界1位という快挙であり、さらに、世界で初めて200 TeraTEPSという驚異的な性能を達成した点が大きな注目を集めています。この記録は、米国ジョージア州アトランタで開催された国際会議「SC24」において発表されました。
200 TeraTEPS超えの性能、その秘密とは?
今回の成果は、約8.8兆個の頂点と140.7兆個の枝からなる超大規模グラフを、平均わずか0.69秒で処理することに成功した結果です。これは、前回の測定結果から約23%もの向上を意味しています。
この飛躍的な性能向上は、共同研究グループが開発した以下の革新的な技術によるものです。
省メモリ化技術: 大規模グラフ処理におけるメモリ使用量の削減に成功。これにより、従来は不可能だった規模のグラフ処理が可能となりました。
乱数シード値の探索: 計算結果のばらつきを抑制し、安定した高性能を実現。
これらの技術は、複数のノード間でのグラフデータの効率的な分割と圧縮、冗長な探索の削減、不要な頂点の削除など、様々な工夫を凝らした結果です。
「富岳」の圧倒的な処理能力
「富岳」は、科学技術計算だけでなく、今回のように不規則な計算が中心となるグラフ解析においても高い性能を発揮します。これは、「富岳」が幅広い分野のアプリケーションに対応できる優れた汎用性を備えていることを示しています。
グラフ解析の重要性と今後の展望
大規模グラフ解析は、SNSのデータ分析やIoTデータ処理など、現代社会の様々な場面で必要とされています。Society 5.0の実現に向け、大量のデータを効率的に処理する技術はますます重要性を増しています。
共同研究グループは、「富岳」を用いた大規模グラフ処理技術の更なる開発を進め、実社会における複雑な問題解決に貢献していく予定です。今回の成果は、日本のスーパーコンピュータ技術の高さ、そして、その技術を最大限に活かすソフトウェア開発力の高さを世界に示すものとなりました。
研究グループ
今回の研究には、理化学研究所、東京科学大学、株式会社フィックスターズ、NTT、富士通の研究者たちが参加しました。それぞれの専門分野の知見を結集することで、この歴史的な成果が実現しました。
関連リンク
Graph500ランキング: https://graph500.org
理化学研究所計算科学研究センター:
https://www.r-ccs.riken.jp/jp/
* 株式会社フィックスターズ:
https://www.fixstars.com/ (企業ウェブサイトへのリンクは仮です。必要に応じて修正してください。)
本記事では、発表された情報に基づき、分かりやすく解説しました。詳細な技術情報は、SC24で発表された論文などを参照ください。