海運業界の未来を議論するCSGとICSの会合開催

海運先進国当局間会議と国際海運会議所の意義



2023年9月29日と30日にデンマークのコペンハーゲンにおいて、海運先進国当局間会議(CSG)および国際海運会議所(ICS)との会合が行われました。この会合には、日本の海事局から中川哲宏外航課長が参加。会議の主な議題としては、海運業界における保護主義、地政学的競争、脱炭素化、労働環境改善など、幅広いテーマに及びました。

海運の自由と協力の必要性



会議では、国際海運の自由なアクセスが議題に上がり、CSGメンバー国間での連携が強調されました。不確実性が高まる中において、国際海運市場での公正な競争条件を確保することの重要性が再確認されました。

特に、米中間の地政学的な競争や、国際海事機関(IMO)での政治的な対立などが海運業界に与える影響について具体的な議論がなされました。加えて、EU海域における偽造船や「ダークフリート」に関する事例も取り上げられ、監視の強化が求められました。

海運の脱炭素化に向けた取組



会議の中で、IMOのNet-Zero Frameworkに基づく脱炭素化への取り組みについても議論が展開されました。日本は、EU地域規制であるEU-ETSやFuel-EU Maritimeの見直しが必要だとの意見を表明しました。これにより、関係国との連携を強化し、効果的な施策を推進していくことが求められています。

新たな海事人材育成の必要性



私たちの未来のためには、海事業界における人材育成も大切です。議論の中では、脱炭素化やデジタル化の進展に応じた専門的な人材のニーズが高まっていることが確認されました。特に、若者の海運業界への関心が薄れていることが懸念されており、キャリアの魅力を発信するための取り組みや教育訓練の更新が必要とされています。

次なるステップ



今回の会合では、CSGとICSが共に抱える海運業界の課題とその解決策について意見を交わし、共通のビジョンを持つことの重要性が再確認されました。海運業界は、国際的な連携と協力が不可欠な分野であるため、今後も定期的な会議を通じて情報を共有し、共同での取り組みが進められることが期待されています。

また、会議での決定事項や新たな政策の動向は、海運業界全体に影響を与えることが予想され、今後の展開に注目が集まるところです。

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