体験の言語化がもたらす新たな視点
8月2日、早稲田大学大隈記念講堂小講堂において、早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)が主催するシンポジウムが盛況のうちに開催されました。本シンポジウムは、早稲田大学が数年間にわたり取り組んできた「体験の言語化」プロジェクトの成果を公開する場となり、著名なジャーナリストとして知られる津田大介氏と、早稲田大学野球部前監督岡村猛氏を迎え、体験を言語化する意義について深い議論が交わされました。
体験を言葉にする難しさ
津田氏は、自らの経験をもとに「自分の体験を言語化することは非常に難しい」と指摘し、特に他者の経験を聞くことが最初の一歩であると主張しました。彼は「ひたすら聴く」ことの重要性を語り、他者の言葉を通じて自身を理解するプロセスの大切さを伝えました。
受講生の湯山秀平氏は、自身の過去の経験について振り返り、「引きこもりという自らの暗黒の歴史と向き合うことで、今を生きることで過去は変えられる」と力強く語り、参加者に感動をもたらしました。彼の言葉は、体験を言語化することが自身のアイデンティティを確立し、社会との絆を強める手段となり得ることを示しています。
育成と自己成長
岡村氏は「育てるのではなく、育つ」という哲学を元に、自らの体験を話しました。彼は、自分の判断で動ける学生を育てることの重要性を説き、社会に通用する力を持つ学生を育成するためには、自らの体験をしっかりと持ち、それを言葉にすることが不可欠であると述べました。教育の現場において、体験を言語化することが学生の成長に寄与する一因であるという見解が示されました。
動画での振り返り
なお、本シンポジウムの様子はWAVOCの公式YouTubeチャンネルにて全編視聴が可能です。シンポジウムを通じて語られた深いメッセージを、ぜひ動画で体感してみてください。
WAVOC 公式YouTubeチャンネル
体験の言語化が本に
ここで取り組まれた「体験の言語化」は、今後成文堂より刊行予定です。この書籍は、体験を超えた新たな視点を提供し、自己と社会を繋ぐ架け橋となることを目指しています。詳細については、10月20日の刊行をお待ちください。
WAVOCの活動
早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター(WAVOC)は、2002年に設立以来、15万人以上が参加している大学付属機関です。「社会と大学をつなぐ」、「体験的に学ぶ機会を広く提供する」、「学生が社会に貢献することを応援する」という三つの理念のもと、様々な活動を展開しています。ボランティア活動を通じて学びを深める機会を提供し、学生の社会貢献を促進しています。また、年間14,000名以上が同センターの活動に参加し、多様なプロジェクトが実施されています。
結論
体験を言語化することの重要性が浮き彫りとなった本シンポジウムは、参加者に新しい視点や気づきをもたらしました。体験の蓄積が、自己や社会との関わりを深め、豊かな人生を築くための手助けとなるのです。今後の展開にも期待が高まります。