細胞内秩序形成の発見
2026-01-30 10:34:29

分子モーターの働きによる細胞内秩序形成の新たな理解

分子モーターの働きによる細胞内秩序形成の新たな理解



千葉大学大学院理学研究院の研究グループによって、分子モーターが細胞内の秩序立った構造をどのように形成するのか、そのメカニズムが解明されました。この発見は、生命現象の理解を深め、医療やナノテクノロジーを含む様々な分野において応用の可能性を示しています。

研究の背景


細胞内では、アクチン繊維などのタンパク質が秩序を成すことで、細胞の機能や形を決定づけています。特に、左右非対称性(キラリティ)は、動物の発生や機能において重要な要素です。しかし、これらの秩序や非対称性がどのように生じるのかは長らく未解決の問題でした。

近年、ショウジョウバエのミオシンの特性に注目が集まりました。このミオシンがアクチン繊維を曲げる能力を持つことが示されたものの、細胞スケールでの秩序形成との関係は明確ではありませんでした。

研究の成果


今回の研究では、分子モーターの一種であるミオシンCcXIを使用し、細胞外で実験を行いました。実験の結果、アクチン繊維がこのミオシンの働きにより、自発的に秩序立ったリング状の構造を形成することが明らかになりました。これは、細胞スケールでの秩序と左右非対称性が、ミオシンの特性から生じることを示す重要な発見です。

研究チームは、実験結果を裏付けるシミュレーションも行い、「曲がる力」と「整列」というルールに基づいて行動するアクチン繊維の運動を理論的に証明しました。このことから、分子レベルでの特性が集団としての相互作用と結びつくことで安定した秩序形成が可能になるメカニズムが示されました。

この研究の最大の成果は、生命の形や機能がどのように作られるのかという根源的な問いに対して、分子レベルの具体的な説明を与えた点です。

今後の展望


この自律的な秩序形成の原理は、多くの分野に応用可能なため、植物細胞の成長や物質輸送の理解においても重要な知見を提供します。また、バイオマテリアル設計や新しいタンパク質工学の展開に期待が寄せられています。

研究グループは、本研究の結果が生命現象の秩序形成を理解するための新たな基盤となり、分子から細胞、そして人工システムへと広がる期待を持っています。

用語解説


  • - 分子モーター (ミオシンCcXI): アクチン上を動くタンパク質で、運動に必要なエネルギーをATP加水分解から得る。
  • - アクチン: タンパク質の一種で、細胞の骨格を構成し、細胞運動や物質輸送に関与。
  • - 極性配向: アクチン繊維の方向性が一定に揃うことです。

参考文献


本研究は、国際的な科学雑誌である『Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS)』で発表され、研究の内容は広く注目されています。

研究成果をもとにして、顕微鏡で観察されたアクチン繊維の自律的な運動は動画でも確認できます。興味のある方はぜひご覧ください。

動画URL

これからも、分子から細胞、さらには人工システムへの広がりをもたらす研究が期待されます。


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