休眠預金を活用した新たな財源
この2025年度、株式会社ソーシャル・エックスと株式会社QRインベストメントによる官民共創型のインパクト投資ファンド『ソーシャルXインパクトファンド』がグッドデザイン賞を受賞しました。このファンドは、休眠預金という未活用資金を社会課題の解決に循環させる革新的な取り組みとして注目を集めています。
受賞の背景
このファンドが特に評価された理由は、単なる資金提供に留まらず、行政とのオープンイノベーションを通じて、社会課題解決に取り組むスタートアップを強力にサポートする点です。審査委員は、資金供給と現場知見の融合が生み出す成長支援のユニークさを高く評価しました。このファンドは、従来の高リターンを優先する投資の枠を超え、社会的リターンと経済的リターンを両立させる新しい金融設計の先駆けとして期待されています。
官民共創の意義
設立の経緯として、このファンドは休眠預金の活用に注目したもので、政府や行政の支援に依存せずに民間資金による新たな支援のあり方を模索しています。特に、資金が十分に届いていない社会課題の解決に向けた新しいアプローチとして、地域銀行が関与することでリスクとリターンの評価を深め、新たな出資の仕組みが形成されています。これにより、地方の社会課題に対する具体的な解決策を提供する期待が高まっています。
ファンドの特徴
『ソーシャルXインパクトファンド』は、自治体とのパートナーシップを形成し、"逆プロポ"という新しい仕組みを採用しています。この仕組みは、企業が「関心のある社会課題」を提示し、自治体がその解決策を提案するという形式です。この方法により、スタートアップが幅広いステークホルダーと連携しながら、実施可能なプロジェクトへと進化させることが可能となります。
また、ファンドは投資を通じて社会的インパクトを測定・管理する仕組み(IMM)を導入し、投資の成果を可視化するプロセスを確立しています。これにより、事業の成長と社会的価値の両立を可能にし、投資家や地域社会にとっての信頼性をさらに高めています。
今後の展望
今回の受賞を契機に、『ソーシャルXインパクトファンド』は、これまでの実績を基に、さらに多くのスタートアップと投資家の輪を広げていくことを目指しています。社会課題解決に共感する企業や投資家が集まり、官民共創による新たな金融デザインが各地で実現されることが期待されています。
まとめ
『ソーシャルXインパクトファンド』の受賞は、休眠預金を新たな資金源として活用し、社会的課題に真正面から取り組む民間の努力が評価された結果とも言えます。今後、このファンドを通じてさまざまな地域・分野での社会課題が解決され、持続可能な社会インパクトの創出が進むことに期待がかかります。