コロナ禍における日本の消費者意識調査：経済的不安と保険への姿勢

日本の消費者意識調査：コロナの影響と保険への姿勢

2020年に実施されたスイス・リーによる日本の消費者意識調査によると、新型コロナウイルスの影響で、日本の消費者は経済的ストレスを強く感じており、他のアジア太平洋地域の国々と比較してもその割合が最も高いことが明らかになりました。調査に参加した約500人の日本人のうち、約37%が経済的に逼迫し、対処が難しいと感じています。

経済状況への不安

特に注目すべきは、経済状況に対して楽観的に捉えている日本の消費者の割合がわずか16%であることです。この数字はAPACの中でも最低で、多くの日本人が経済的な不安を抱えていることが分かります。2020年5月のデータでは、47%の消費者がストレスを感じつつも生活を維持しようとしていると回答しています。中でも、社会の混乱や自身の健康への不安が主要な要因として挙げられています。

保険契約の見直しへの消極性

調査結果によれば、住宅や自動車保険を解約しようとする消費者はわずか10%、生命保険を解約しようとするのは14%に過ぎません。このことは、経済的な不安があっても、保険を手放すことには消極的な日本の消費者の姿勢を示しています。契約の見直しに慎重な姿勢を持つ消費者がいる一方で、保険会社との新規契約を検討する人も少なくないようです。新規契約を実際に行ったのは約7%ということです。

COVID-19と保険の関係

ジョン・モック氏は、この調査結果から、消費者が健康管理アプリや所得補償といった特典に興味を示していることを指摘しています。特に、36%の消費者は保険プランに何らかの付加価値があることに気付いており、顧客エンゲージメントの向上が保険業界にとっての新たなチャンスであると述べています。

保険会社との関わり

また、調査によると、保険会社からの連絡があったと評価する消費者は全体の40%に上る一方、そのうち実際に購入に至ったのは22%です。この数字は日本が最も低い結果であり、消費者が感じる必要性が十分に満たされていないのかもしれません。モック氏はこの状況について、保険会社に顧客との関係を深め、柔軟性を持って対応する機会があると述べています。

オンラインでの保険購入の傾向

今後の保険購入に関する意識調査では、59%の消費者が新型コロナウイルスの影響でオンラインでの保険購入が増加すると考えており、特に保障内容については慎重になる傾向にあります。36%の消費者が保険の保障範囲の拡大に慎重であり、29%がその詳細をしっかり見極める必要があると感じています。

消費者ニーズへの理解

日本の消費者は、保険というものが健康維持や経済的安定に寄与することを強く認識しています。スイス・リーの百々敦浩代表は、消費者のニーズを理解し、保険の提供価値を高めることが今後の課題であると述べています。保険に関する信頼性と価値を保持することが、消費者と保険会社の信頼関係を築くカギであると言えるでしょう。

このように、新型コロナウイルスの影響により、日本の消費者は経済的な不安を抱きながらも、保険に対しては慎重かつ計画的な姿勢を見せていることが分かりました。彼らのニーズを理解し、適切なサービスを提供することこそ、現在の保険業界の課題となっています。