製造業新入社員、安定志向は強まるも、キャリア形成への不安も明らかに
2024年に入社した新入社員4,761人を対象とした「新入社員意識調査」の結果、製造業の新入社員は、安定した生活を望む傾向が強い一方で、キャリア形成への意識は低く、スキルアップの取り組みも不足している現状が明らかになりました。
調査を行ったのは、組織開発・人材育成支援を手掛けるALL DIFFERENT株式会社(旧株式会社ラーニングエージェンシー)と、人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所です。
安定志向は過去最高、7割以上が「今の会社で働き続けたい」
調査結果によると、製造業の新入社員の69.5%が「安定した生活を送りたい」と回答し、これは過去最高の割合です。また、「今の会社で働き続けたい」と回答した割合は74.4%で、他業種と比べて16.2ポイント高い結果となりました。
製造業は、近年、新型コロナウイルスの影響や人手不足などの課題を抱えており、安定した働き方を求める新入社員が増えていると考えられます。
専門性を極めたいという声は多いものの、キャリア志向がない新入社員も4人に1人
一方で、将来のキャリア志向について、「専門性を極めたい」と回答した割合は28.1%と最も多かったものの、「特にキャリアについての志向はなく、楽しく仕事をしていたい」と回答した割合も25.6%と、4人に1人がキャリア志向がないという結果になりました。
スキルアップの取り組みは不足、4割以上が「特に何もしていない」
スキルアップの取り組みについては、「特に何もしていない」と回答した割合が43.4%と、過去5年間で最高となりました。これは、新入社員がスキルアップのために何をすべきか、具体的な方法がわからないという状況を示唆しています。
成長に必要なものは「成功体験」「フィードバック」
今後のスキルアップのために取り組みたいこととして、「会社での仕事を通じてスキルアップを図っていきたい」と回答した割合は63.3%でした。また、成長するために必要なものとして、「仕事を通じた成功体験」「上司や先輩からの事後のフィードバック」を挙げる割合が高く、経験を通して成長していきたいという意欲が見られます。
企業は新入社員の成長を支援する必要がある
今回の調査結果から、製造業の新入社員は安定した生活を望み、長期的に会社で働き続けたいと考えている一方で、キャリア形成への意識やスキルアップの取り組みは不足していることが明らかになりました。
企業は、新入社員が安心して働き続けられる環境を作るだけでなく、キャリア形成を支援し、スキルアップの機会を提供することが重要です。具体的には、
周囲とのコミュニケーションの場を積極的に用意する
キャリア形成支援として、先輩との座談会や配置転換などを実施する
スキルアップのための研修やプログラムを提供する
振り返りの習慣を身につけるためのサポートを行う
など、様々な取り組みが必要となります。
新入社員の成長を支援することで、企業は人材育成を成功させ、組織全体の活性化につなげることが可能になります。