花火大会の有料席価格上昇、プレミアム化を進化させる要因とは?
花火大会が日本の夏の風物詩であることは疑いの余地がありませんが、近年これらのイベントは有料席の導入や値上げ策を進め、よりプレミアムなものへとシフトしています。今年の調査結果では、全国の106の主要花火大会のうち、約7割の大会で有料席が導入されています。その中で今年は有料席の価格が上昇した大会が半数を超え、最安値が初めて5000円を突破しました。
有料席の導入状況と価格設定の動向
調査結果によると、2023年から有料席を新たに導入した75大会の内、約56%に当たる42大会が2024年に向けての値上げを実施することが判明しました。具体的な価格は最安値の平均5162円で、前年と比較しておよそ8.3%上昇しています。これにより、昨今の物価上昇を受けた影響が如実に現れてきたといえるでしょう。
一方で、高額の有料席も増加しており、最も高額な「VIPテーブル席」は16万円(定員4名)という価格設定がなされています。このようなプレミアム席は、専用のトイレや飲食サービスが付随しているため、付加価値を提供できる余地が確保されていますが、高額なゆえに売れるかどうかの二極化が進展しているのも事実です。価格に見合った価値をどのように提供するかが、今後の大きな課題となります。
花火の打ち上げコストの上昇
さて、花火大会においては運営費の大部分が花火の打ち上げコストを占めています。2024年の初めから5月にかけて、打ち上げ花火の輸入価格は約2200円/kgに達しており、これはコロナウイルス以前の2019年と比較して1.8倍の高騰を示しています。ウクライナ情勢の影響もあり、原材料費が高騰したまま推移しているのです。
安全対策に必要不可欠な会場設営や警備の費用もまた、増加傾向にあり、特に夏のイベントシーズンは予算が膨らむ要因となっています。これらのコストをカバーするためにも、有料席の設定や価格の引き上げが行われています。
二極化する花火大会の有料席
昨年から急速に進んでいる有料席の導入ですが、その価格の引き上げは「売れる席」と「売れない席」が存在する状況を生み出しています。特に、観客の知名度や大会のアクセスの良さ、さらには花火の打ち上げ規模などによって、各大会間での競争が激化しています。このような市場環境の中で、単価の引き上げが実施されても、その妥当性が問われるようになっています。
結果として、観覧者や関係者が納得できる価格設定や価値の提供がなければ、プレミアム化は定着しづらいと考えられます。したがって、各花火大会においては、今後どのようにフレキシブルな価格設定とサービスを提供していくかが重要です。
まとめ
花火大会は今、以前とは異なる形で進化を遂げているといます。不況の影響やコロナ禍を乗り越え、新たな価値を提供するための試みが求められているのです。今後の花火大会がどのように変化していくのか、またそれが観客にどのような体験をもたらすのか、今後の注目ポイントとなるでしょう。