近年、リチウムイオン電池を使用した製品の普及に伴い、これらの電池が適切に廃棄されないケースが増えています。不燃ごみや粗大ごみとしての不適切な廃棄が原因で、発火や火災のリスクが高まることが大きな社会問題となっています。こうした問題を解決するために、IHIグループのIHI検査計測は、株式会社PFUとの協力のもと、リチウムイオン電池の検知システムを開発しました。
2024年9月9日から12日の間、町田市バイオエネルギーセンターにて実証実験を実施します。この実験は、コンベヤで流れる燃やせないごみをX線で撮影し、AIを活用してリチウムイオン電池を特定する仕組みです。作業者に対しては、プロジェクションマッピングを用いて検知した位置を通知し、効率的に作業を行うことを可能にします。
実証実験では、町田市が提供した行政収集の燃やせないごみから、様々な種類や形状の電池を検出し、その精度や作業性の向上を確認します。これにより、実際の作業現場での適用の可能性を検証し、今後の改善に繋げていく予定です。
このプロジェクトには、町田市、町田ハイトラスト株式会社、株式会社PFU、そしてIHI検査計測の各社が協力して取り組んでいます。具体的には、町田市が実験場所の提供とごみの移送を行い、町田ハイトラストが作業性の検証に協力します。また、PFUがAI設計を担当し、IHI検査計測が検知装置の設計・製造を行います。
IHI検査計測は、長年にわたり空港や重要施設におけるセキュリティのためのX線検査装置の販売を手掛けてきた実績があります。その経験を生かし、社会的な問題解決に貢献することを目指しています。この実証実験の成果を踏まえ、さらなる検知精度や耐環境性能の向上を図るとともに、2025年度の販売開始を目指していく計画です。
まとめれば、リチウムイオン電池の適切な廃棄は非常に重要な課題です。この実証実験を通じて、安全な廃棄を実現し、社会全体に貢献できるシステムの実用化を推進していく姿勢が伺えます。リチウムイオン電池に関連する問題に対して取り組む姿勢は、今後の社会でも重要な役割を果たすことでしょう。