日銀ETFと市場影響
2025-10-03 14:14:29

日銀のETF買入れが株式市場と貸株市場に与える影響の新知見

日本銀行のETF買入れが株式と貸株市場に及ぼす影響



近年、日本銀行(以下、日銀)が行っている上場投資信託(ETF)の大規模な買入れが、単に株価を引き上げるだけではなく、株を貸し借りする貸株市場にも大きな影響を与えていることが明らかになりました。このことは、早稲田大学の研究チームによる実証研究を通じて示されました。

研究の背景



従来、多くの研究は日銀のETF買入れが株価を押し上げる効果に焦点をあてていましたが、貸株市場への影響はあまり注目されていませんでした。本研究においては、この貸株市場の動向を分析することで、株式市場と貸株市場の新たな相互作用を明らかにし、特に「レンディング・チャネル」と呼ばれるメカニズムを特定しました。連結データを用いることで、ETFの発行残高が増えると、それに伴い貸株市場へ供給される株式が増加し、空売りの際にかかる制約が緩和されることが判明しました。

「レンディング・チャネル」のメカニズム



本研究では、2010年から2019年の間の株式データと貸株データを組み合わせた独自のデータセットを作成し、日本銀行のETF買入れが株式の貸出状況に及ぼす影響を探りました。その結果、日銀のETF買入れが短期的に株価を押し上げる効果がある一方で、貸株市場への株式供給が増えることで、結果的に株式貸出の際にかかる費用が抑えられ、空売りが行いやすくなります。この現象が起こることで、短期的な株価の上昇が抑制される可能性があることが分かりました。

影響と評価の重要性



研究チームによるこの成果には、いくつかの重要な示唆が含まれています。一つには、中央銀行の政策が金融市場の異なる部分(株式市場と貸株市場)を通じて、想像以上に多様な影響を引き起こすことが示された点です。また、今後の金融制度設計や政策評価において、影響を体系的に理解し評価する必要があることも強調されています。

将来の金融政策への影響



この知見は、日本国内に限らず、海外の中央銀行や国際機関にも参考になります。日本銀行は多数のETFを保有しており、投資家や市場参加者にとってもこの影響を理解することで、今後の投資判断やリスク管理に役立つでしょう。

将来的な金融環境や買入れ政策の変更がどのように影響を及ぼすかは引き続き追跡が必要です。今後の研究においては、これまでのメカニズムがどれほど持続するのか、また新たな要因がどのように影響を与えるのかを探ることが重要になります。全体として、本研究は、このような観点からも重要な意義を持つものです。


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