自己治癒コンクリートが鹿児島で初の実施工
株式会社ヤマウが開発した自己治癒コンクリート「Basilisk」が、鹿児島県内の工事現場で初めて採用されました。この新しい技術がもたらす環境への効果と、コンクリートの未来について詳しく解説します。
自己治癒コンクリートBasiliskの特性
「Basilisk」とは、特殊なバクテリアを利用して自己修復機能を持たせたコンクリートです。このバクテリアは経年によるひび割れを修復する能力を持っており、通常のコンクリートに比べて圧倒的に長寿命化が期待できるスマートマテリアルとして注目を集めています。この技術によって、コンクリートのライフサイクルコストを大幅に削減でき、結果として環境保護にも寄与します。
鹿児島県の採用現場概要
今回の施工作業は、鹿児島県の北薩地域振興局農林水産部から発注された「農村地域防災減災事業」の一環です。このプロジェクトでは、水路が新たに施工され、その総延長は152メートル、総重量は80.4トンと大規模なものです。施工業者は純浦建設株式会社で、工事は2024年6月から2025年3月にかけて行われます。
CO2削減効果
この自己治癒コンクリートの導入により、CO2排出量は合計7.16トン削減される見込みです。この数値は、セメント製造時に排出されるCO2の削減に大いに貢献するものとされています。これにより、地域の環境保護にもつながります。
自己治癒の仕組み
Basiliskの自己修復は、バクテリアの代謝活動に基づいています。コンクリートにヒビが入ると、バクテリアがその隙間に入り込み、ひび割れを埋めることで、持続的に新しいコンクリートに再生されます。この自己治癒メカニズムによって、コンクリートは100年以上の耐久性を持つとされています。
企業の取り組み
株式会社ヤマウは、環境保護への取り組みを強化しており、全国のコンクリートメーカー50社が参加する「aNET ZERO」にも参画しています。また、高炉スラグ微粉末を使用した低炭素型コンクリートも製造しており、積極的な脱炭素活動を進めています。2023年には環境省が展開する「脱炭素につながる新しい豊かな暮らし」を支持する「デコ活宣言」を行いました。
終わりに
自己治癒コンクリートの導入は、地方のインフラ整備においても新たな展開を迎えています。環境問題が深刻化する中で、持続可能なコンクリート技術はますます重要な役割を果たすことでしょう。株式会社ヤマウの取り組みに期待が寄せられています。