エッジAIと光ファイバーで鉄道事故を防ぐ新システム開発開始

鉄道事故を未然に防ぐ新システムの開発が始まる

株式会社QuantumCore（本社：東京都品川区、代表取締役：秋吉信吾）は、積水化学工業との協力により、鉄道の安全性を高めるための革新的なシステム開発を始めたことを発表しました。このプロジェクトは、東京都が支援する「グローバルイノベーションに挑戦するクラスター創成事業」の一環として採択され、2025年度を目指しています。

プロジェクトの概要

このプロジェクトは、「全線連続監視による鉄道の安全性向上」をテーマに、光ファイバーセンサー技術を用いてモニタリングします。光ファイバーケーブルをセンサーとして活用することで、従来の「点」監視から「線」監視へと進化。また、当社が独自に開発したリザバーコンピューティング技術を使い、時系列データを解析し、リアルタイムでの異常検知を実現します。

プロジェクトは、積水化学工業との連携により、光ファイバーによるデータ提供を受け、鉄道の安全性を向上させるためのソリューションを共同で構築します。

技術の特徴と優位性

従来方式からの飛躍

以前のセンサーシステムは、限られた設置場所での「点」での監視が主流でしたが、今回の新システムでは、光ファイバー全体が連続的に機能し、監視の死角をゼロにします。これにより、落下物や侵入者を即座に検知することが可能に。これまでのツールでは追いつかなかった範囲も、メートル単位で分解して監視することができます。

リザバーコンピューティングによる解析

光ファイバー内を流れる光の変化には、振動やひずみなど多くの情報が含まれています。「Qore」は、これらの複雑な光信号を高精度に解析することで、以下の機能を実現します：

- 落下物の即時検知：落石や倒木など、即座に位置を特定。
- 侵入者検知：立ち入りによる事故を防止。
- 運行状況把握：列車の速度や位置のリアルタイム監視。
- 環境ノイズの分離：通常振動と異常振動を高精度で識別。

これにより、線路の状態を24時間365日、絶え間なく監視する体制が整います。

社会的な意義と期待される効果

日本の鉄道はその安全性が高く評価されていますが、自然災害やその他のリスクが依然として存在します。このプロジェクトによって、以下のような効果が期待されます：

- 事故の未然防止：不審者や落下物の即時検知が可能。
- 死角の完全解消：全線が隙間なく監視されるため安全度が向上。
- 運行管理の向上：正確な情報提供により運行管理がより精密に。
- 迅速な異常対応：現場に迅速に対応可能。

さらに将来的には、インフラの劣化診断への応用も視野に入れています。

今後の展開

プロジェクトでは、落下物や侵入者の検知システム設計やプロトタイプ開発を進めていく予定です。その後、実環境での精度検証を行い、最終的にシステムの実装と評価を行います。
国内での成功をもとに、海外展開も視野に入れたこのプロジェクトが実現すれば、世界中の鉄道インフラの安全性を格段に向上させる可能性を秘めています。