ノバルティス、第3四半期業績好調で通期予想上方修正
スイスの製薬大手ノバルティスは、2024年第3四半期の決算を発表し、売上高と利益が大幅に増加したことを明らかにしました。主力製品群の堅調な販売に加え、米国における重要な医薬品承認が業績を後押しした形です。
好調な増収増益
第3四半期の売上高は、前年同期比10%増(実質ベース)、コア営業利益は20%増(実質ベース)と、力強い成長を遂げました。特に、エンレスト、コセンティクス、Kisqali、ケシンプタ、Pluvicto、レクビオといった主要製品群が、売上高増加に大きく貢献しています。これらの製品は、それぞれ20%を超える高い伸び率を示しました。
高収益性も維持しており、コア営業利益率は40.1%に達し、前年同期比3.4ポイントも向上しました。これは、売上高の増加が大きく寄与した結果です。純利益も前年同期比121%増と大幅な増加となりました。
米国での承認取得が追い風
ノバルティスは、米国食品医薬品局(FDA)から、Kisqali(早期乳がん治療薬)とファビハルタ(IgA腎症治療薬)の新たな適応症を承認されました。これらの承認取得が、売上高増加に大きく寄与したと考えられます。また、Pluvicto(前立腺がん治療薬)についても、FDAへの承認申請を行っています。
通期業績予想の上方修正
好調な第3四半期業績を受け、ノバルティスは2024年通期業績予想を上方修正しました。売上高成長率は従来予想の1桁台後半から10%台前半に、コア営業利益成長率は10%台半ばから後半に引き上げられました。
CEOのコメント
ノバルティスのCEO、ヴァス・ナラシンハン氏は、第3四半期の業績について、「力強い業績を達成しました。すべての主要な成長製品が好業績に寄与しました」とコメント。米国での承認取得や事業、パイプラインの好調を背景に、通期業績予想の上方修正に自信を示しました。
今後の戦略
ノバルティスは、革新的医薬品に特化した製薬企業として、循環器・腎臓・代謝、イムノロジー、中枢神経、オンコロジーの4つのコア疾患領域に集中。これらの領域において、複数の成長が見込める製品を保有しています。また、低分子医薬品、抗体医薬品といった既存の技術プラットフォームに加え、遺伝子・細胞治療、放射性リガンド療法、核酸医薬品といった新たな技術プラットフォームへの投資も積極的に行っています。
財務概要(継続事業)
2024年第3四半期
売上高:128億米ドル(前年同期比9%増)
営業利益:36億米ドル(前年同期比106%増)
純利益:32億米ドル(前年同期比111%増)
コア営業利益:51億米ドル(前年同期比17%増)
フリーキャッシュフロー:60億米ドル
2024年1~9月期
売上高:372億米ドル(前年同期比9%増)
営業利益:110億米ドル(前年同期比53%増)
純利益:91億米ドル(前年同期比54%増)
コア営業利益:146億米ドル(前年同期比17%増)
フリーキャッシュフロー:126億米ドル
今後の展望
ノバルティスは、今後も革新的医薬品の研究開発に注力し、成長を加速させるとともに、株主への還元を重視した経営を継続していくことを表明しています。
免責事項
本記事は、公開されている情報を元に作成されていますが、将来の業績を保証するものではありません。投資に関する決定は、ご自身の判断で行ってください。