建設業経営者の人手不足への実感と2024年問題の深刻さ
2025年度版の調査によると、建設業の経営者110名のうち、約72.7%が人手不足を実感していることが明らかになりました。これにより、昨年よりも5.3ポイント改善されましたが、依然として深刻な状況に変わりはありません。この調査はM&Aキャピタルパートナーズ株式会社が実施したもので、建設業の未来に多大な影響を与える「2024年問題」に対する対応状況が探られました。
調査の概要
調査は2025年11月11日から12日の間にオンラインで行われ、110名の建設業経営者からの有効回答が得られました。アンケートでは、人手不足を実感している経営者に様々な側面から質問が投げかけられました。特に着目されたのは、労働環境や経営課題に対する経営者の見解です。
結果から見える人手不足の実態
調査結果によると、人手不足を「非常に感じる」と回答した経営者は30.0%で、これは前回よりも19ポイントの減少です。しかし、「やや感じる」と回答した42.7%を加えると、実感している経営者は約72.7%に達します。ここからは人手不足の深刻さが一層浮き彫りとなります。
経営者たちは人手不足への対策として「基本給の引き上げ」を実施している企業が53.8%に上る一方、「福利厚生の充実」が続く状況です。こうした取り組みがあるものの、経営者たちの多くは人員確保の難しさを実感しています。
2024年問題に対する対応状況
「2024年問題」に関連して、32.0%の企業が未対応で、これが競争環境の悪化を招いている要因と考えられます。未対応の理由としては、44.4%が「人員確保が難しい」と回答し、続いて「取引先との工期調整が難しい」とする経営者も25.0%を占めました。このような実情から、今後の業界の見通しは厳しさを増しています。
未来の競争環境
経営者の約56.4%が今後3~5年の競争環境について「さらに厳しくなる」と予測しています。その理由として最も多いのは80.6%が「人手不足の深刻化」を挙げ、続いて資材価格の高騰や労務費の上昇が影響を与えることが懸念されています。また、74.6%の経営者が経営課題の解決が自社単独では難しいと感じていることも非常に重要なポイントです。
M&Aによる解決の可能性
このような状況の中、建設業界ではM&Aの活用が急増しています。人材不足や資材価格の高騰に対処するため、企業の統合や再編が進行中です。特に、中堅・中小企業は、より大きな企業やファンドと連携することで、経営の安定性と競争力を向上させていく必要があります。
若い経営者にとっては事業承継や成長戦略の一環として、M&Aが選択肢になりつつあるのが現状です。経営者の中には、後継者として役割を果たしながら、新しい成長の道を模索する姿勢が見られます。
結論
建設業界は今、根本的な構造課題と戦っています。人手不足が続く中、経営者たちがどのように企業の持続可能性を確保していくかが、今後の大きな課題となります。M&Aの情報収集や戦略的なアプローチが、これからの選択肢として重要視されるのは間違いありません。