2024年の10月10日、世界メンタルヘルスデーが近づく中、精神的健康に関する調査結果が注目されています。アトラスト・ヘルス株式会社が実施した意識調査では、過半数のビジネスパーソンが精神科医の受診目安に従わず、症状が悪化してから受診しようと考えていることが明らかになりました。
調査は、2024年9月20日から9月23日までの間に、20歳から65歳のビジネスパーソン602人を対象に行われました。まず注目すべきは、54.5%という数字です。これは、ビジネスパーソンが精神的健康の問題に直面したとき、医師の助言よりも自分の状態が深刻になるまで待とうとしていることを示しています。
具体的なデータでは、「常に気力がでなくなり、寝られないようになったとき」が22.6%、「仕事や家事に明らかな支障が出たとき」が19.8%と続いています。これらは、長年不眠症に関わってきた精神科医の竹田美香先生が考える受診の目安を大きく上回る深刻な状態です。
さらに、他の回答としては「睡眠をしても休養が取れていない」と感じるときが33.1%、日中の眠気や集中力の低下が12.5%で、睡眠状態の悪化が業務や日常生活に影響を与えている現状が浮き彫りとなりました。
興味深いのは、多くのビジネスパーソンが受診の遅れの理由として「精神科・心療内科には重症化してから通うイメージがある」と回答している点です。この回答は43.0%で、他に「通院していることを知られたくない」や「金銭的な理由」が続き、精神的な健康管理に対するスティグマや不安が実際の行動に影響を与えていることがうかがえます。
睡眠時間に関するデータも興味深い結果を示しています。調査の回答の中で、78.2%が7時間未満の睡眠時間であることが判明し、その多くが自身の睡眠に満足していないとしています。満足しない理由の上位には「睡眠時間が短い」や「寝ても疲れが取れない」との回答が挙げられ、これがさらに心身の状態に影響を与えている可能性があります。
最後に、アトラスト・ヘルス株式会社の取り組みについても触れておきたいと思います。同社は、「心を照らす医療」をミッションに掲げ、オンラインと対面の総合精神医療プラットフォームを展開しています。これにより、より多くの人が精神医療にアクセスしやすくなることを目指しています。
心身の健康は個人だけでなく企業全体の生産性にも影響します。今後は、精神的健康に対する理解を深め、早期の受診を促すための社会的な取り組みが必要です。メンタルヘルスが重要視される時代にあって、私たち一人ひとりがどのように対応していくか、改めて考える良い機会となることでしょう。