勤労者ロコモへの新たな挑戦
昨今、働く人々における運動器の健康問題が重要な課題となっている。特に、ロコモティブシンドローム(ロコモ)のリスクが高まっている中、ロコモ チャレンジ!推進協議会が新たに取り組みを始めた。
ロコモの認知率の現状
2010年の設立以来、ロコモ チャレンジ!推進協議会は、国民の健康寿命を延ばすための数々の施策を提供してきた。しかし、ロコモの認知率は全体でわずか40%台にとどまっており、特に勤労者世代にはその意識は低い。
団塊世代が全員75歳に達する2025年を控え、高齢化が進む中、65歳以上の就業者数は914万人、就業率は25.2%と連続20年増加し続けている。65歳から69歳の層では52.0%、70歳から74歳の層でも34.0%に達しており、これらは過去最高の数値だ。
老齢労働者の労働災害
高齢者の労働参加は素晴らしい結果を生み出している一方で、労働災害も増加傾向にある。2023年のデータでは、60歳以上で労働災害による死傷者数は39,702人であり、この年齢層が全体の29.3%を占める。
最も多く発生している事故は「転倒」で、60歳以上では16,249件。中高年層の女性労働者の増加も影響し、転倒による骨折のリスクが特に高い。
ロコモ度の実態
年代別の実態を見ると、ロコモ度1(移動機能の低下が始まっている段階)の割合は50代男性で41.5%、女性で42.1%、そして60代では男性で54.0%、女性で51.8%に達している。これは中年以降、多くの人々が注意すべき健康リスクである。
対策の必要性
これからの人生100年時代においては、働く意欲を持っている高齢者が社会で活躍できるよう支持していく必要がある。そのためには、勤労者のロコモ対策が急務である。そこで、ロコモ チャレンジ!推進協議会は、産業医学と整形外科の専門家で構成された「勤労者ロコモワーキンググループ」を立ち上げた。
現場の取り組み
10月、第34回日本産業衛生学会で『女性に忍び寄るロコモのリスクを追い払え!』というセミナーを実施した際には332名が参加し、活発な質疑応答が交わされた。
このような取り組みを通じ、産業保健や産業衛生に関わる人々への啓発活動がますます重要になっている。
啓発ツールの活用
また、ロコモ チャレンジ!推進協議会では、オンラインプラットフォーム「ロコモONLINE」を通じて、「ロコモ度テスト」や運動の推奨、栄養に関する情報を提供している。これにより、自身や周囲のロコモリスクをチェックし、予防に努めることができる。
まとめ
高齢者の働き手が益々増す現代社会では、彼らの健康を保つためのロコモ対策が必要不可欠である。労働者自身が自らの健康について考え、早期に対策を講じることこそが、より健康的で生産的な職場環境の構築につながるだろう。今後も、ロコモ施策が広がり、多くの人々が健康でいられることを祈っている。