京都信用金庫が創業支援の新たなインパクト評価を実施
京都信用金庫は、多摩大学社会的投資研究所と共同で「創業支援融資インパクト評価報告書」を作成しました。この取り組みは、創業者支援を行う金融機関として地域経済に与える影響を可視化することを目的としています。
日本の創業支援の現状
日本の多くの金融機関では創業支援への取り組みが行われていますが、事業の不安定さや担保不足、業務の非効率性から、これを単なるCSR活動として位置づけている場合が多いのが実情です。地域金融機関が創業支援を活性化させるためには、地域の社会や経済、環境の向上に貢献する戦略が必要です。資本をポジティブな影響を生むものと捉えることで、地域貢献が実現できるでしょう。そのためには、長期的なインパクトを可視化することが欠かせません。
京都信用金庫の取り組み
京都信用金庫は、「創業のご相談は京信へ」というスローガンのもと、2007年に創業支援制度「ここから、はじまる」を開始。その後も地域の創業者を長期にわたって支援し続けています。今回のインパクト評価は、創業支援融資プログラムの実施を通し、地域創業者に対する効果を調査するモデル事業として行われました。
事業の概要
- - 対象: 京都信用金庫創業支援融資プログラム
- - 期間: 2022年4月〜2023年2月
- - 評価者: 多摩大学社会的投資研究所客員教授 小林立明
- - 評価協力: 京都信用金庫評価チーム
- - 協力: JPBV代表理事 江上広行
報告書の重要なポイント
報告書は、国連環境計画(UNEP)の提唱する「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」を基盤にして、京都信用金庫が創業支援活動の目標とするインパクト領域を定義しています。その上で、2011年度から2020年度にかけての創業支援活動と、そこから得られたインパクトを結びつけて解説しています。
インパクトI 〜 環境・地域
68%の創業支援融資先が、サービスの提供や地域社会への参加を通じて社会貢献活動を行っています。また、SDGs関連のテーマに取り組む事例も見られます。
インパクトII 〜 創業者コミュニティ
京信ジュニア・オーナー・クラブ(JOC)への参加により、創業者は学びや成長、ネットワーク構築が促進されています。アンケート結果から、70%の参加者が経営者とのつながりが構築できたと回答しています。
インパクトIII 〜 職員
職員へのアンケートでは、76%が創業支援融資を通じて仕事に対する意識が変化したと答え、地域貢献の手段としてこの活動を位置づけています。
評価チームのコメント
評価結果から、京都信用金庫の創業支援が地域発展や創業者のネットワーク構築に貢献していることが分かりました。また、職員自身にとっても成長や責任感を与える重要な要素として機能することが明らかになりました。
京都信用金庫について
京都信用金庫は1923年に設立され、地域社会の発展を目指すコミュニティ・バンクの理念を掲げてきました。今後も地域のニーズに応じた金融サービスを提供していくことが期待されます。
詳細については公式サイト(
京都信用金庫公式サイト)をご覧ください。